＜特別展覧会＞ 狩野山楽・山雪

＜特別展覧会＞

狩野山楽・山雪

重要文化財   龍虎図屏風   狩野山楽筆  6曲1双  通期  京都・妙心寺

　狩野永徳展、長谷川等伯展から数年ぶり、近世絵画の大展覧会「狩野山楽・山雪」が、京都国立博物館で好評開催中である。

東福寺法堂天井画雲龍図縮図  狩野永祥模  1幅 通期

狩野山楽と山雪は、桃山時代から江戸初期の京都で活躍した画家である。

山楽は、永徳の豪壮な造形を受け継ぎ、さらに後継の山雪は、水墨画・金碧画にわたって驚くべき個性的な絵画を生み出した。

狩野山楽像（部分）  木村香雪模  1幅  通期 京都国立博物館

実力派の画家、狩野山楽・山雪子弟の初の本格的な回顧展である。

濃厚華麗な障壁画をはじめとする、代表作やこの展覧会のために海外から初里帰りした作品や新発見、初公開の名品の数々が目白押しで驚くべき展覧会だ。

重要文化財  車争図屏風  狩野山楽筆 4曲1隻　 慶長9年（1604）

通期 東京国立博物館

　桃山から江戸への過渡期。

それは豊臣側につくか徳川側につくかで後の人生が変わる激動の時代。

武将だけでなく、狩野派の絵師たちもまた、その渦中で運命を大きく左右されたのだ。

幕府御用絵師となり軽淡な画風を江戸の地で展開した狩野本家「江戸狩野」。

一方、京の地にとどまり永徳の弟子筋によって濃厚な画風を確立する「京狩野」。

この展覧会は、この京狩野の草創期の画家、狩野山楽・山雪子弟の作品を紹介するもの。

　初代山楽は、豊臣秀吉に才能を見出されて狩野永徳に入門。

師から造形の外面だけでなく、気宇壮大さ、明朗な気分など内面レベルまで受け継ぐ大変優秀な画家であった。

永徳没後、狩野一門の番頭的な役割を担い活躍するが、豊臣氏滅亡により残党狩りの標的になり、危機に直面する。

しかし、幸い、公家の九条幸家や将軍徳川秀忠の尽力によって命をつなぎ、濃厚華麗な画風を後継の山雪に伝えた。

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重要文化財  聖徳太子絵伝  狩野山楽筆  4面  元和9年（1623）

半期（2面ずつ前後期展示替） 大阪・四天王寺

重要文化財  松鷹図襖 狩野山楽筆  6面  通期  京都・大覚寺

重要文化財  牡丹図襖 狩野山楽筆  8面  後期  京都・大覚寺

後期（紅梅図襖と表裏）

山楽から山雪へ世代は交代し、時代は徳川の時代になると、探幽率いる狩野本家は、幕府奥絵師として栄華をきわめ軽淡瀟洒な画風を展開する。（江戸狩野）

それに対して山雪は、江戸狩野とは距離を置き、京の地で自らの絵画世界をひたすら追究する学究肌の絵師で、山楽の濃厚な画風をよりいっそう深めて行く。

狩野山雪像（部分） 木村香雪模 1幅  通期  京都国立博物館

藤原惺窩閑居図（部分）  狩野山雪筆  堀杏庵・林羅山賛 1幅

後期  東京・根津美術館

観音天龍夜叉図 狩野山雪筆  1幅  正保4年（1647）  通期  京都・東福寺

山雪の驚くべき個性的な絵画は刺激的で、その特異な画風には、今日においても、新鮮な視覚の魔術を駆使しているようで、目が釘付けになってしまう。

重要文化財  雪汀水禽図屏風 狩野山雪筆  6曲1双  通期

維摩居士図  狩野山雪筆  1幅  通期   福井・善導寺

現在、大阪市立美術館で、特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」展が開催中であるが、その大きな見どころのひとつ、曽我蕭白筆による雲龍図があげられる。

この「狩野山楽・山雪」展は、去年に記者発表があり、その時名古屋ボストン美術館で、「ボストン美術館 日本美術の至宝」展が開かれていた。

筆者は、その記事を執筆中であったため、山雪の龍図と曽我蕭白による雲龍図との関連性を感じざるを得なかった。

担当学芸員の京都国立博物館山下善也連携協力室長　にお聞きしたところ、まさしくその通りで、東大教授もその様に述べているとのことであった。

蕭白は間違いなく、山雪の龍図を見ていたであろう。

狩野山楽・山雪の遺伝子が、同じ京都の絵師として、その後の18世紀の伊藤若冲・曾我蕭白らに、引き継がれて行くのである。

重要文化財13件、新発見9件、初公開6件など、山楽・山雪の最新の研究成果の発表となる大変学術的にも有意義な展覧会である。

明皇貴妃図屏風  狩野山雪筆  6曲1隻  通期  京都国立博物館

盤谷図 狩野山雪筆  １幅  通期

きわめて高度な絵画技術に支えられた、狩野山楽・山雪の造形の確かさと力強さを体感できる絶好の機会だ。

重要文化財  蘭亭曲水図屏風  狩野山雪筆  8曲2双 通期

京都・随心院

武家相撲絵巻（部分）  狩野山雪筆 1巻  通期  東京・(財)日本相撲協会相撲博物館　　

★美術展としては初公開

海外からはアメリカ三都市とアイルランドから里帰りした山雪の大作が4件展示されている。

なかでもミネアポリス美術館「群仙図襖」（初里帰り）とメトロポリタン美術館「老梅図襖」は最大の魅力のひとつ。

かつて表裏をなしていた山雪の襖絵が海を渡って以降はじめて、故郷の京都で50年ぶりに再会した。

会場では同じケース内で元状に復しているので、本来の姿を鑑賞できる。

群仙図襖 狩野山雪筆 4面  通期 アメリカ・ミネアポリス美術館

Minneapolis Institute of Arts, The Putnam Dana McMillan Fund, 67.37.1-.4?

 ★初里帰り

老梅図襖 狩野山雪筆  4面  通期  アメリカ・メトロポリタン美術館

The Metropolitan Museum of Art, The Harry G.C. Packard Collection of Asian Art, Gift of Harry G. C. Packard and Purchase, Fletcher, Rogers, Harris Brisbane Dick, and Louis V Bell Funds; Joseph Pulitzer Bequest, and The Annenburg Fund Inc. Gift, 1975.(1975.268.48a-d)Image The Metropolitan Museum of Art.

アイルランドのチェスター・ビーティー・ライブラリィの「長恨歌図巻」2巻も修復以来15年ぶりの里帰り。

　この展覧会は、京都国立博物館のみの限定展だ。

他館には巡回をしないので、ぜひ京都へ。

お見逃しなく。

会期

平成25年3月30日（土）～5月12日（日）

会場

京都国立博物館　特別展示館

休館日

月曜日　

開館時間

午前9時30分から午後6時まで（入館は午後5時30分まで）

※ただし会期中の毎週金曜日は午後8時まで（入館は午後7時30分まで）

観覧料

一般　1,400円（1,100円）

大学・高校生　900円（600円）

中学・小学生　500円（200円）

＊（　）内の料金は／団体20名以上

＊障がい者の方と介護者（1名）は、障がい者手帳などのご提示で、無料。

＊キャンパスメンバーズは、学生証のご提示で300円で鑑賞可。

主催

京都国立博物館、毎日新聞社、京都新聞社

後援

文化庁、テレビ大阪

協賛

ニューカラー写真印刷株式会社、大和ハウス工業

協力

日本航空、日本香堂

公式ホームページ

http://sanraku-sansetsu.jp/

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