ベル・エポックを生きた夢二とロートレック 生誕130年 竹久夢二展 [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
ベル・エポックを生きた夢二とロートレック
生誕130年 竹久夢二展
大正浪漫へ。パリへ。江戸へ。
夢二でたどる、時代のきらめき。
大正ロマンを代表する詩人画家・竹久夢二(1884~1934)の生誕130年を記念し、19世紀末のパリで活躍したアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864~1901)と夢二という全く新しい観点からその芸術と生涯を比べながら作品を鑑賞するという画期的な展覧会が、高島屋京都店で開催中だ。
独特の情感をたたえた美人画で一世を風靡した夢二。
しかし、その業績は、単なる美人画だけではなく、雑誌の表紙や広告から日用品まで幅広くデザインを手がけ、商業美術や出版の世界でも卓越した能力を発揮した名プロデューサーでもあった。
その姿は、日本とフランスという活動の場所は違えども、ロートレックに重なるのではないかとこの展覧会の監修者、岡部昌幸 帝京大学教授は言う。
ともに画壇に属さず、時代の先端を読み取る感性を持ち、版画やポスターを独立したジャンルにまで高めた2人は、ベル・エポック(良き時代)を象徴する優れた芸術家といえる。
この展覧会の構成は、夢二とロートレック、また東西のベル・エポックに共通するロマンチシズムに着目し、対比を試みたが、机の上で考えていたより、実際に会場で展示してみるとより一層その関連性を深く感じると岡部昌幸 帝京大学教授は感慨深げであった。
初期から晩年までの代表作をはじめ、ゆかりの作家の作品や資料など約200点を通して、古き日本への郷愁と西洋への憧れがとけあった夢二の世界をあらためて考えみようという試み。
筆者は、2014年6月ロートレックの故郷アルビに行き、その美術館や生家、また母方の祖父の居城であるボスク城に赴き、ロートレックの母方の従兄弟ニコル・タピエ・ド・セレイラン(Nicole Tapié de Céleyran)にインタビューをして来た。
日本から来たと言うと大変喜んでくれ、ロートレック自身がパリ万博にて購入したという日本人形を見せてくれた。
ロートレックは日本が大好きで、ニコル・タピエ・ド・セレイランの父に話していたという。
また、ロートレックは、母方も父方も貴族の家柄なため、夕食時には子供たちは、一言も発することを許されないくらい厳格な家柄だったが、アンリおじさんは、鶴の一声で、「子供が少しぐらい騒いだってかまわない。大いに楽しみなさい。」と言ってくれ、ニコル・タピエ・ド・セレイランの父たちは大喜びしたといったエピソードを筆者に語ってくれた。
画家ロートレックの優しい「おじさん」の一面はあまり語られて来なかったので、新鮮な情報である。
夢二も人形を制作しており、この展覧会で展示されているが、「不思議な縁」を感じた。
ポスターを制作していたロートレックには、作品を目立たせる効果のある浮世絵の技法「平塗り」は、点線で描く印象派特有のタッチよりも、自身の方向性に合致していたのだ。
一見、関連性のない二人の画家を結び付け、考察するこの展覧会の意義は大きい。
すべての展示作品がその作家の作品群の中からベストの状態のものをこの展覧会のために用意したという。
ハワイにて夢二が制作した「宵待ち草」(ハワイジャパニーズセンター所蔵)がこのたび発見された。今まで人知れず埋もれていた作品がこのたび日本に里帰りしており、この展覧会で展示されている。
図録には、今まであまり書かれていなかった切り口の情報が満載されているので、ぜひ参照されたし。
大変貴重な展覧会。お見逃しなく。
■2014年8月27日(水) → 9月8日(月)
■7階グランドホール
■ご入場時間:午前10時~午後7時30分(午後8時閉場)
※最終日は午後4時30分まで(午後5時閉場)
■主催:夢二郷土美術館・朝日新聞社
■入場料(税込):一般800円(600円)、大学・高校生600円(400円)、中学生以下無料
※( )内は団体10名様以上の割引料金。
※当催については、「障害者手帳」をご提示いただいたご本人様、ならびに、ご同伴者1名様まで入場無料。
*トワイライトサービス:午後6時からは半額
☆ホームページ
http://www.takashimaya.co.jp/base/kyoto/pdf/kyoto_takehisa_140729.pdf
☆読者プレゼント
10組20名様にご招待券 プレゼント
あて先 : loewy@jg8.so-net.ne.jp に
件名:展覧会名と会場名
本文:ご住所、お名前
をお書きの上どしどしご応募下さい。
締切:UPした日の午前零時
発送をもって当選と代えさせていただきます。
☆巡回予定
岡山店
■9月11日(木)→23日(火・祝)
■岡山高島屋8階催会場
ご入場時間=午前10時〜午後5時30分(6時閉場)。
最終日は午後3時30分まで(4時閉場)。
日本橋店
■9月26日(金)→10月6日(月)
■日本橋高島屋8階ホール
ご入場時間=午前10時〜午後7時30分(8時閉場)。
最終日は午後5時30分まで(6時閉場)。
横浜店
■10月15日(水)→27日(月)
■横浜高島屋8階ギャラリー
ご入場時間=午前10時〜午後7時30分(8時閉場)。
最終日は午後5時30分まで(6時閉場)。
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