特集陳列 日本の仮面 人と神仏、鬼の多彩な表情 [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
特集陳列 日本の仮面
人と神仏、鬼の多彩な表情
重文 十二天面のうち梵天 京都国立博物館 撮影すべて 浦 典子
京都国立博物館「平成知新館」では、京都周辺の社寺に伝来した仮面35面を展示する展覧会が開催中だ。
平成知新館は、谷口吉生(たにぐち よしお)の設計で2014年昨年オープンし、絵画、彫刻、書、工芸品、陶磁器などの膨大な名品を常に展示している。
建築家、谷口吉生は、同じく建築家の父 谷口吉郎(よしろう)が設計した東京国立博物館東洋館
(東京都台東区 / 1968年)、東京国立近代美術館 (東京都千代田区 /
1969年)に引き続き、1999年東京国立博物館法隆寺宝物館建設の実績を持ち、1997年プロポーザル方式により選定され、2007年 京都国立博物館南門を建設、その後京都国立博物館平成知新館を設計した。
直接発注を行なったかたに筆者が聞いたところコンペではなく、プロポーザルで29社の応募の中から谷口吉生のこれまでの実績とこのスキームが素晴らしいので発注を決めたという。
設計者、発注者、工事の作業者、学芸員、博物館が陰で総力を結集させたという平成知新館。
椅子に至るまで谷口吉生が細かく選定し、スペクトラム(Spectrum)の長椅子をはじめ、ハーマンミラー(HermanMiller )、ポール・ケアホルム(Poul Kjaerholm)も置かれており、デザイン性豊かな空間を醸し出している。
京都を意識したフォルムと細かいところにまで、配慮がなされている設計には感動すら覚えるほどだ。
谷口吉生は、身長170cmの筆者がかなり見上げるほど身長が高く、背筋をぴんと伸ばしたたたずまいが凛としている。
読者へのメッセージを特別に下さった。
「来場者が作品の鑑賞に集中していただけるような広さの部屋に設計した。この地は埋蔵品が多いため、制約がある中での設計に苦心した。調湿剤を入れられるよう工夫した。どこに照明が当たるかも綿密に計算した。作品をどんな色合いで見せたいか工夫した。温白色で見ていただきたい。
摂氏22度湿度40%に保つ工夫。水回りの工夫など、さまざまの方々からの要望をできるだけ取り入れて設計したので思い入れが強い。来場者が快適に過ごしていただけることを重要に思っている。」
京都国立博物館の明治古都館の基本計画の検討とそれに伴う埋蔵文化財発掘調査が2015年度から予定されている。そのため、明治古都館は当分の間休館される。
これらを受けて当面の間、特別展覧会は平成知新館にて開催されるのだ。
ちなみに父、谷口吉郎は、以下などの設計しており、在学中は筆者もお世話になった。
慶應義塾幼稚舎 (東京都渋谷区 / 1937年)
慶應義塾大学日吉寄宿舎(横浜市日吉/1938年/現存)
慶應義塾大学第3校舎(4号館)・大学学生ホール(東京都港区 / 1949年 / 現存せず / 第1回日本建築学会賞作品賞)
慶應義塾大学第2研究室(新萬來舎)(東京都港区 / 1951年 / 現存)
さて、この展覧会では、東寺の五重塔供養法会で用いられた十二天面(平安時代)、八部衆面(鎌倉時代)、丹後国分寺で追儺会に登場した毘沙門天面(鎌倉時代)、神社に伝来した能狂言面(室町~江戸時代)などが35面、展示されている。
仮面は儀礼や芸能に使用するための道具だが、日本ほど古い仮面が現存する国は世界でも見当たらないという。日本は仮面大国なのだ。
まず、中国は戦乱や文化大革命などであまり残っていない。朝鮮半島も同様だ。京都は応仁の乱で
多くを失ってしまったが、伎楽面は奈良、舞楽面、行道面は奈良や天王寺のほか地方の古社寺、能狂言面は全国的に残っている。
伎楽面 迦楼羅 京都国立博物館
この展覧会では、京都に残っている珍しい仮面が展示されている。
西洋の仮面は、カーニバルなどで使用し、その場限りという意味合いが強く宗教的儀式のように仮の何者かになりきるという目的の使用は少なく、顔を隠すことが主な目的だ。
よって、布などのやわらかい素材で顔を隠す(顔を覆う)ため、古いものはあまり残らなかったのかもしれない。
一方、日本の仮面は主に木で彫られ大切に寺社あるいは大名家(能狂言面)などで保管されて来たため、今日まで残っているのだ。
この展覧会では、それぞれ造られた時代の造形の特徴が現れているので、その多彩な表情を比べることができる。
また、文化財のレプリカや材料見本などをそろえた「ミュージアム・カート」に3Dプリンタで制作した、「行道面 王舞」(滋賀・久留美神社)のレプリカが登場。
実際に手に取って、触ってみたりかぶってみることもできる。
大変画期的な取り組みだ。
ただ単に展示するだけでなく、このように身近に文化を学べると、大人も子供も博物館に行くのが楽しくなる。
大変興味深い展覧会。お見逃しなく。
開催会場
京都国立博物館・平成知新館特別展示室
料金 一般 520円
大学生 260円
※高校生以下・18歳未満・70歳以上は無料
開催日・期間 2015年6月9日(火)~2015年7月20日(月)
※期間中の開催日:休館日の月曜を除く(ただし7月20日は開館)
開催時間 9:30~17:00 最終入館16:30
電話 075-525-2473 (テレホンサービス)
☆ホームページ
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5組10名様にご招待券 プレゼント
あて先 : loewy@jg8.so-net.ne.jp に
件名:展覧会名と会場名
本文:ご住所、お名前
をお書きの上どしどしご応募下さい。
締切:UPした日の午前零時
発送をもって当選と代えさせていただきます。
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☆お詫び
10組20名様にご招待券 プレゼントと記しておりましたが、5組10名様にご招待券 プレゼントの
誤りでございました。大変申し訳ございませんでした。
訂正してUPいたしておりますので、お知らせいたします。
なお、今回お届けできませんでした5組の皆さまには、その代りにはならないかと存じますが、海外のフルーツティーをお送りいたします。
せっかくご応募下さいましたのにご期待に添えず、心苦しく思っております。
申し訳ございませんでした。
以後、このようなことのないよう充分注意してまいります所存です。
どうぞお許し下さいますよう、お願い申し上げます。
重ねてお詫び申し上げます。
これに懲りませずご愛読下さいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
毎日暑い日が続いております。どうぞご自愛下さいませ。
皆さまのご多幸をお祈りいたしております。
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