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特別展 時宗二祖上人七百年御遠忌記念 国宝 一遍聖絵と時宗の名宝Special Exhibition Priest Shinkyō 700th Memorial Special Exhibition Art of the Ji Shū A New Sect of Buddhism in the Kamakura Period [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

特別展 時宗二祖上人七百年御遠忌記念

国宝 一遍聖絵と時宗の名宝

Special Exhibition Priest Shinkyō 700th Memorial Special Exhibition

Art of the Ji Shū A New Sect of Buddhism in the Kamakura Period

07国宝 一遍聖絵 巻6(清浄光寺・遊行寺蔵).jpg

国宝 《一遍聖絵》(巻6、部分) 円伊筆、鎌倉時代、神奈川・清浄光寺(遊行寺)蔵、

通期(巻替あり)*広報画像の場面は後期(5/146/9

 

08国宝 一遍聖絵 巻12(清浄光寺・遊行寺蔵).jpg

 国宝 《一遍聖絵》(巻12、部分) 円伊筆、鎌倉時代、神奈川・清浄光寺(遊行寺)蔵、

通期(巻替あり)*広報画像の場面は後期(5/146/9

 

時宗は、宗祖一遍(123989)が鎌倉時代に開いた宗派。踊り念仏で知られる。

 一遍は念仏をとなえることで誰もが往生をとげられると説き、全国を遊行(ゆぎょう)と呼ばれる行脚を行ない、賦算(ふさん)という「南無阿弥陀仏、決定往生六十万人」と記した念仏札を配り、布教につとめた。

この時宗を教団として整備し、大きく発展させたのが二祖の真教(しんきょう12371319)だ。

真教は、「二祖さん」と親しみを持って呼ばれている。

2019年に真教の七百年遠忌を迎えるのを記念して、時宗の名宝を一堂に会する展覧会が京都国立博物館で開催中だ。

この展覧会は、全国各地を遍歴した一遍の生涯を描いた国宝「一遍聖絵」(清浄光寺(遊行寺)蔵)をはじめ、真教の足跡もつづられた「遊行上人縁起絵」、一遍や真教ら歴代祖師の肖像画や肖像彫刻など、時宗の名宝の全貌をご紹介するもの。

☆国宝「一遍聖絵」12巻全巻を公開!

これは、日本を代表する絵巻であり、中世の歴史を語る上でも大変重要な作品だが、まだまだ謎が多い作品だ。

一遍十回忌にあたる正安元年(1299)に完成したとみられ、六条道場歓喜光寺の開山であり、一遍の近親・高弟とされる聖戒が詞書を撰述し、謎の絵師・円伊によって描かれた、とされる。

各地の風景や人々の姿が細密に、そして情趣豊かに描き出されており、日本美術史上“ONE & ONLY”の最高傑作の作品という。

まず、絹に描かれていることが珍しい。紙ではなく絹に描くことで裏からも色を塗ることができ、微妙なニュアンスを表現できる。

そして、大和絵と中国の水墨画である漢画を融合させた画法で描かれていることも大きな特徴。

山肌や岩肌を筆のかすれを駆使し、グラデーションを表現。

花や人物は鮮やかに描き出し、そのコントラストが絶妙だ。

40cmくらいの巻物なので、人物は約1cm。

それらが大変緻密に描かれている。

描かれた富士山は、大迫力。そのスケール感も魅力だ。

円伊は研究者によっても意見が分かれ、まだまだ解明できていない絵師だ。

以上、 井並 林太郎 京都国立博物館 研究員の説明を筆者なりにまとめた。

また、淺湫 毅(あさぬま たけし)京都国立博物館 連携協力室長は、開祖 一遍と二祖の真教を大変わかりやすい例えで教えてくれた。

高校野球で例えると、一遍は、一年生スーパースター投手。

二祖の真教は、弟子だが一遍より2つ年上。

スーパースター選手を支える温厚な3年生キャッチャー。

実際、宗派として整えたのは、一遍の死後、自然解散した時宗を再編成し興したのが二祖の真教なのだ。

 

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     重要文化財 《真教上人坐像》 鎌倉時代、神奈川・蓮台寺蔵、通期




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重要文化財 《阿弥陀如来立像》 平安~鎌倉時代、京都・知恩院蔵、通期 



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重要文化財 《遊行上人縁起絵》(巻7、部分)  鎌倉時代、兵庫・真光寺蔵、後期(5/146/9

 

 

さて、歌舞伎の演目の「連獅子」と時宗について。

「連獅子」は、

前シテは手獅子を持った狂言師 (能師)

後ジテは本行どおりの親子獅子になり、勇壮に毛を振る。

親子の情愛をテーマにし、実際の親子の演者によって踊られることが多い、歌舞伎の真骨頂ともいえる有名な演目だ。

前ジテが終わり、後ジテに突入する前に 間狂言(あいきょうげん)、 二人の僧のよる『宗論』(しゅうろん)が行われる。

雄壮な獅子の舞に注目が集まりがちだが、今回はこの間狂言について考えてみよう。

身延山へ参詣した法華僧(日門)と善光寺へ参詣した浄土僧 (専念) が道連れになり、互いにわが仏が尊いのだと争う。

どちらも珍妙な法文を説き、なかなか相手を説得できない。

二人は読経をし、ついには踊り念仏・踊り題目でせりあう。

法華宗の僧が団扇太鼓を叩いてお題目「南無妙法蓮華経」を、浄土宗の僧が叩き鉦(かね)を打って念仏「南無阿弥陀仏」を繰り返し唱える

が、二人はそれぞれ自分の宗派のお経とは違う「南無阿弥陀仏」と「南無妙法蓮華経」を取り違えてしまう。

団扇太鼓や叩き鉦打ち鳴らす大変愉快な演目だ。

そして結局、法華も浄土も釈迦の教えにへだてはないと悟る。

宗旨争いの愚かしさを滑稽に描き,人間すべてに普遍的な我執と偏見を風刺した狂言がもとになっている。

この時のセリフが、「一遍上人より賜ったる有難い鐘の功力を持って獅子を退散致そうとして存ずる~」なのだ。

浄土宗の僧という設定なのだが、一遍は若い頃、浄土教を学んでいる。

時宗が宗として正式に成立したのは江戸幕府の政策による。

歌舞伎が発展した江戸時代には、踊り念仏は大変流行しており、それを歌舞伎として取り入れたのではないかと筆者は考える。

 

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国宝 《洛中洛外図屏風(舟木本)》右隻 岩佐又兵衛筆、江戸時代、東京国立博物館蔵、5/286/9

 

13重文 阿弥陀如来立像(阿弥陀寺蔵、大津市歴史博物館).jpg

 重要文化財 《阿弥陀如来立像》 鎌倉時代、滋賀・阿弥陀寺蔵、通期、写真:大津市歴史博物館

 

☆新発見!  展覧会の事前調査において

《銅造阿弥陀三尊像》

《木造阿弥陀三尊像》

《毘沙門天立像》の文化財3件。

 滋賀県の名刹・浄信寺の蔵から見つかった《銅造阿弥陀三尊像》は、《洛中洛外図》にも描かれる御影堂新善光寺の本尊であると予想される。

《木造阿弥陀三尊像》(京都・聞名寺蔵)は快慶の一番弟子・行快の作品。

寡作で知られる行快の貴重な作例だ。

そして、鎌倉時代に一流仏師の力量を感じさせる京都・極楽寺秘蔵の《毘沙門天立像》は、今回が特別出品。

像内から造像当初の納入品3種が発見された。

長澤 昌幸 大正大学専任講師は、時宗発祥の地である七条道場は、今、駐車場になっている、と教えてくれた。

ちなみに時宗では、寺院のことを「道場」と呼ぶ。修業の場ということからだ。

筆者は、その軌跡を探りに訪れた。

京都駅からほど近い七条跡。七条通と洞院のあたり。周りを探ってみたが、石碑など何もない。

さらに東には、仏像の制作を行なう仏所(ぶっしょ)跡が南北の小さな道路を挟んで存在している。

これは、運慶の流れをくむ慶派の七条仏所 跡なのだ。

名前は聞くが、実際に訪れたことがなかったので大変勉強になった。

 

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                                        撮影  浦 典子 

 

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六条道場跡は渉成園の北隣に位置し、石碑として残っている。京都六条河原の源融の旧邸跡に建立された歓喜光寺。

歓喜光寺は現在、山科に移転している。

これは、筆者が河原町方面に行く際、見つけた。

 

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また、四条道場は、牧野 純山 長楽寺住職 にお聞きしたところ、教えて下さった。

新京極の塔頭の染殿院(染殿地蔵院、染殿地蔵、そめどのさん)のところをお聞きした。

近くまで行き、河原町通りの交番で聞くが、四条道場と言ってもわからない。染殿院と言うと警察官が調べてくれ、連れて行ってくれるという。

何と交番に隣接しており、交番を左に見ながら新京極の商店街の中に5mほど行ったところに、「時宗開祖一遍上人念仏賦算遺跡」の石碑がある。

京都の警察官は親切だ。

 

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重要文化財 《真教上人書状》 鎌倉時代、京都・長楽寺蔵、後期(5/146/9

 

☆【特別公開】奉祝 天皇陛下御即位「春期京都非公開文化財特別公開」開催の一環として、

平成洛陽三十三所観音霊場のひとつ、長楽寺では、6/16まで秘仏 准胝観音をご開帳。

本尊の准胝観音は天皇即位時にしか開帳されない「勅封・厳秘」の本尊であり、玉躰護持と皇室安寧祈祷の本尊。

住職ですら、開帳は許されないという秘宝だ。

☆公益財団法人京都古文化保存協会ホームページ

    http://www.kobunka.com/

☆長楽寺ホームページ

    http://www.age.ne.jp/x/chouraku/

展覧会の鑑賞に併せて、ぜひ訪れることをお勧めする。

他地域の博物館や美術館ではなく、京都国立博物館で開催されているからこそ、その帰りにでもゆかりの地を訪れることができる。

まるでタイムスリップしたかのように京のこの地に活躍した時宗の足跡をたどることができるのだ。

展覧会を鑑賞したら、その今を探ってみる。

こんな鑑賞のしかたを提案したい。

ぜひ、お見逃しなく。

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        重要美術品 《薄鶉蒔絵文台》 室町時代、京都・金蓮寺蔵、通期

 

☆構成

 1章 浄土教から時宗へ

   2章 時宗の教え 一遍から真教へ

   3章 国宝 一遍聖絵の世界

   4章 歴代上人と遊行 時宗の広まり

   5章 時宗の道場とその名宝

会期

2019413日(土)~ 69日(日)

 前期:2019413日(土)~ 512日(日)

 後期:2019514日(火)~ 69日(日)

 ※会期中、一部の作品は上記以外にも展示替あり。

会場

京都国立博物館 平成知新館

交通

JR、近鉄、京都駅下車、京都駅前D1のりばから市バス100号、D2のりばから市バス206208号系統にて博物館・三十三間堂前下車、徒歩すぐ

休館日

月曜日 

開館時間              

火~木・日曜日 9301800(入館は1730まで)

金・土曜日 9302000(入館は1930まで)

観覧料

一般 1,500円(1,300円)

 大学生 1,200円(1,000円)

 高校生 900円(700円)

 中学生以下無料

 *( )内は団体20名以上。

  *障がい者の方とその介護者(1名)は、障がい者手帳などのご提示で無料。

 *キャンパスメンバーズは、学生証または教職員証をご提示いただくと、各種通常料金より500円引き。

 

主催       京都国立博物館、朝日新聞社、時宗、時宗総本山清浄光寺(遊行寺)

協賛       京阪ホールディングス、竹中工務店

協力       公益財団法人仏教美術研究上野記念財団、日本香堂、楽浪文化財修理所

☆京都国立博物館サイト

https://www.kyohaku.go.jp/jp

☆ワークショップ

特別展「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」関連ワークショップ

一遍さんを探そう!~さわって楽しむ絵巻物~

絵巻を実際に手に取りながら鑑賞するワークショップ。

「一遍聖絵」の詞書と絵が分かれて所蔵されている部分のうち、京都を舞台とする巻七の第2段と第3段をオリジナルの姿に再現した特別な複製絵巻をご用意。

日時

    特別展「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」会期中

    10301600 参加受付は1530まで

所要時間

    15分程度

定員

    1日先着300

参加費

    無料(ただし「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」展の当日の観覧券が必要)

開催場所

    京都国立博物館 平成知新館2F

    レファレンスコーナー

案内

    京博ナビゲーター

対象

    子どもから大人までどなたでも参加可。

☆記念講演会

518日(土)

「時宗のみほとけ─阿弥陀と祖師像を中心に─」

 講師:淺湫 毅(京都国立博物館 連携協力室長)

525日(土)

「一遍聖絵に見る聖性と熊野信仰」

 講師:遠山 元浩 氏(遊行寺宝物館長)

【時間】13301500

【会場】平成知新館 講堂

【定員】200

【料金】無料(ただし「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」展の当日の観覧券が必要)

【参加方法】1200より、平成知新館1Fグランドロビーにて整理券を配布。

定員になり次第、配布を終了。

 

☆ご意見・ご要望・ご感想のお願い

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