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日本スペイン外交関係樹立150周年記念プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光[Special Exhibition] The 150th Anniversary of the establishment of diplomatic relations between Japan and Spain VELÁZQUEZ AND THE CELEBRATION OF PAINTING: THE GOLDEN AGE IN THE MUSEO DEL PRADO [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

日本スペイン外交関係樹立150周年記念

プラド美術館展

ベラスケスと絵画の栄光

[Special Exhibition]

The 150th Anniversary of the establishment of diplomatic relations between Japan and Spain

VELAZQUEZ AND THE CELEBRATION OF PAINTING:

THE GOLDEN AGE IN THE MUSEO DEL PRADO

6.王太子バルタサール・カルロス騎馬像.jpg

ディエゴ・ベラスケス《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》1635 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

16世紀以降のスペイン王家によって収集された、スペイン、イタリア、フランドル絵画を核にした世界屈指の美の殿堂、プラド美術館(Museo del Prado)。

マドリードに1819年に「王立美術館」として開館し、1868年の革命後「プラド美術館」と改称された。現在は文化省所管の国立美術館だ。

プラド美術館は約7,600枚の油彩画、約1,000の彫刻、約4,800枚の版画、約8,200枚の素描、多くの美術史に関する書類など、膨大な作品を所蔵する。

宮廷画家であったベラスケスやゴヤの生涯を網羅する代表作群のほか、エル・グレコやムリーリョの宗教画、そしてラファエロ、ティツィアーノ、ボッス、ルーベンスなどイタリアやフランドル絵画の第一級のコレクションも含まれており、ハプスブルクとブルボンのスペイン両王朝の栄華を今に伝える。11.音楽にくつろぐヴィーナス.jpg

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《音楽にくつろぐヴィーナス》1550 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

12.アンドロメダを救うペルセウス.jpg

ペーテル・パウル・ルーベンス、ヤーコプ・ヨルダーンス《アンドロメダを救うペルセウス》 1639-41 年 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

18.聖アンナのいる聖家族.jpg

ペーテル・パウル・ルーベンス《聖アンナのいる聖家族》1630 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

13.ジェノヴァ救援.jpg

アントニオ・デ・ペレーダ《ジェノヴァ救援》1634-35 年 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

14.聖セラピアの埋葬のある風景.jpg

クロード・ロラン《聖セラピアの埋葬のある風景》1639 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

 

15.ブドウの房のある八角形の静物.jpg

フアン・デ・エスピノーサ《ブドウのある八角形の静物》1646 年 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

16.聖ペテロの解放.jpg

ジュゼペ・デ・リベーラ《聖ペテロの解放》1639 年 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

17.小鳥のいる聖家族.jpg

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《小鳥のいる聖家族》1650 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

設立後も寄贈や購入によりコレクションを拡充し、現在も、世界でもっとも重要かつ魅力的な美術館の一つに数えられているのだ。

筆者がマドリードに滞在した時、のべ開館時間から閉館時間まで約4日ほど通ったが、まだまだ通いたいと思うほど名作がそろっていた。

マドリード観光の目玉ともいえる美術館でもある。

そのプラド美術館のコレクションの中から、西洋美術史上最大の画家のひとりであるディエゴ・ベラスケス(1599-1660)の作品7点を軸に、17世紀絵画の傑作など61点を含む70点(うち9点は資料)を紹介する展覧会が、国立西洋美術館において開催中だ。

1.フアン・マルティネス・モンタニェース.jpg

ディエゴ・ベラスケス《フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像》1635 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

2.メニッポス.jpg

ディエゴ・ベラスケス《メニッポス》1638 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

3.マルス.jpg

ディエゴ・ベラスケス《マルス》1638 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

日本では、以下の4回のプラド美術館展がこれまで開催されて来た。

2002年「プラド美術館展 スペイン王室コレクションの美と栄光」

2006年「プラド美術館展 スペインの誇り 巨匠たちの殿堂」

2011年「プラド美術館所蔵 ゴヤ―光と影展」

2015年「プラド美術館展― スペイン宮廷 美への情熱」

  そのうち、2011年~2012年に国立西洋美術館で開催された「プラド美術館所蔵 ゴヤ-光と影展」について以下で記しているので参照されたし。

☆ 「プラド美術館所蔵 ゴヤ-光と影展」

      http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-01-27

17世紀のスペインは、ベラスケスをはじめリベーラ、スルバランやムリーリョなどの大画家を輩出した。

スペイン絵画の黄金期といえる時代、彼らの芸術をはぐくんだ重要な一因に、歴代スペイン国王が絵画を愛好し収集し、彼らを擁護、援助したことが挙げられよう。

 特にベラスケスは、国王フェリペ4世の庇護を受け、王室コレクションのティツィアーノやルーベンスの傑作群から触発を受けて大成し、宮廷画家として活躍した。

スペインにおいて絵画芸術が到達し得た究極の栄光を具現した存在であったといえよう。

ベラスケスの作品群は、プラド美術館の核と成すと言っても過言ではない。

現にプラド美術館には、「ベラスケス部屋」というべき大作ばかりを集めた広い会場があり、プラド美術館のハイライトとなっている。

4.狩猟服姿のフェリペ4世.jpg

ディエゴ・ベラスケス《狩猟服姿のフェリペ4世》1632-34 年 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado




5.バリェーカスの少年.jpg

ディエゴ・ベラスケス《バリェーカスの少年》1635-45 年 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

この展覧会は、そのフェリペ4世の宮廷を中心に、17世紀スペインの国際的なアートシーンを再現し、幅広いプラド美術館のコレクションの魅力をたっぷり体験でき、ベラスケスと17世紀絵画のコレクションを網羅的に紹介するような構成だ。

 

7.東方三博士の礼拝.jpg

ディエゴ・ベラスケス《東方三博士の礼拝》1619 年 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

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フランシスコ・デ・スルバラン《磔刑のキリストと画家》1650 年頃 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

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アロンソ・カーノ《聖ベルナルドゥスと聖母》1657-60 年 マドリード、プラド美術館蔵

[コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

10.視覚と嗅覚.jpg

ヤン・ブリューゲル(父)、ヘンドリク・ファン・バーレン、ヘラルト・セーヘルスら《視覚と嗅覚》

1620 年頃 マドリード、プラド美術館蔵 [コピーライト] Museo Nacional del Prado

 

 

巨匠ベラスケスの傑作が「7点」もそろうのは、今後実現不可能ではないかと思える画期的な試み。

日本とスペインの外交関係樹立150周年を記念して開催される展覧会だからこそできたのではないだろうか。

 この展覧会では、スペインの巨匠ベラスケスの「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」(カワイイ!!!)をはじめ、ベラスケスや彼と同時代にヨーロッパで活躍した巨匠達の作品を堪能できるまたとない機会。

 

NEWS!!!

※東京会場では、プラド美術館所蔵作品に加え、本展の内容と密接に関連する国立西洋美術館の所蔵作品2点も同時出品!

527日(日)まで。

お見逃しなく。

 

会期:2018224日(土)~2018527日(日)

開館時間:午前930分~午後530

?毎週金・土曜日:午前930分~午後8

※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日

主催:国立西洋美術館、プラド美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ

後援:スペイン大使館

特別協賛:キヤノン

協賛:花王、損保ジャパン日本興亜、大日本印刷、大和証券グループ、大和ハウス工業、東レ、三井物産

協力:西洋美術振興財団 、イベリア航空、日本貨物航空、ヤマトロジスティクス

観覧料金:

当日:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800

団体:一般1,400円、大学生1,000円、高校生600

※団体料金は20名以上。

※中学生以下は無料。

☆国立西洋美術館サイト

     http://www.nmwa.go.jp/

☆展覧会特設サイト

     https:// prado2018.yomiuri.co.jp

プラド美術館Museo del Prado

     https://www.museodelprado.es/en

 

☆読者プレゼント 

   510名様にご招待券 プレゼント

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

   件名:展覧会名と会場名

   本文:ご住所、お名前

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

       締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時

   発送をもって当選と代えさせていただきます。

   速達対応いたします。

 

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☆巡回予定

2018613日(水)~1014日(日)に兵庫県立美術館(神戸市)


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追加情報 生誕150年 横山大観展 The 150th Anniversary of his Birth: Yokoyama Taikan [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

追加情報 生誕150年 横山大観展

The 150th Anniversary of his Birth: Yokoyama Taikan

 

03夜桜(左隻).jpg

「夜桜」 (左隻)1929    横山大観    大倉集古館 六曲一双、紙本彩色 177.5×376.8 cm

                    東京展:58日~527

京都展:68日~71

 

横山大観(1868-1958年)の生誕150年、没後60年を記念した回顧展が、東京国立近代美術館で好評開催中である。

以下の弊社のホームページとブログ両方にUPしている。

    https://art-news-jp.jimdo.com/2018/05/15/生誕150-横山大観展-the-150th-anniversary-of-his-birth-yokoyama-taikan/

    https://art-news-jp.jimdo.com/2018/05/15/フォトギャラリー-生誕150-横山大観展/

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2018-05-15

追加情報を記す。

東京展と京都展にそれぞれ出品されない作品がある。

展覧会全体の総出品数としては92点、うち本画84点、 習作ほか資料8点。

東京および京都で出品されない作品は以下の通り。

東京展:「鸜鵒」「菊花」

京都展:「朝陽霊峯」「龍蛟躍四溟」「龍蛟躍四溟 小下絵」

ゆえに

東京展は、出品点数90点。本画82点、習作ほか資料8

京都展は、出品数89点、本画82点、習作ほか資料7

ということ。

すなわち、

東京展では、「朝陽霊峯」「龍蛟躍四溟」「龍蛟躍四溟 小下絵」を見逃さないように。

京都展では、「鸜鵒」「菊花」を見逃さないようにした方がいいと筆者はお勧めする。

ぜひ、両方の会場を訪れたいものだ。

 

☆東京国立近代美術館

    http://www.momat.go.jp/

☆特設サイト

http://taikan2018.exhn.jp/

 

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生誕150年 横山大観展 The 150th Anniversary of his Birth: Yokoyama Taikan [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

生誕150年 横山大観展

The 150th Anniversary of his Birth: Yokoyama Taikan

 

05大観展イメージ.jpg

横山大観(1868-1958年)の生誕150年、没後60年を記念した回顧展が、東京国立近代美術館で好評開催中である。

大観は、東京美術学校に第1期生として入学。

岡倉天心、橋本雅邦らに学ぶ。

東京美術学校を卒業後、京都に移って仏画の研究を始め、同時に京都市立美術工芸学校予備科教員となる。

この京都時代より雅号「大観」を使い始めるようになった。

1896年(明治29年)、同職を辞すと、母校・東京美術学校の助教授に就任。

しかし、約2年後に当時校長だった天心への排斥運動が起こり、天心が失脚。

天心を師と仰ぐ大観はこれに従って助教授職を辞し、同年の日本美術院を創設する。

新たな絵画の創出を目指したのだ。

西洋からさまざまなものや情報が押し寄せる時代の中、日本の絵画の伝統的な技法を継承しつつ、時に改変を試みた。

それは、主題にもおよび、従来の定型から脱し、新たな主題を模索し始める。

やがて大観は、その手法をさらに広げ、自在な画風と深い精神性をそなえた数々の大作を生み出して行く。

  この展覧会では、

40メートル超で日本一長い画巻、水墨画の集大成ともいえる、

《生々流転(せいせいるてん)》 (重要文化財)

《夜桜》

《紅葉》

をはじめとする代表作に、数々の新出作品や習作などの資料をあわせて展示している。

 

《生々流転》は、 1923(大正12)年作の絹本墨画で東京国立近代美術館蔵の重要文化財だ。

  全長40メートル超。日本一長い画巻に水の一生の物語を描く。

スタートは山間に湧く雲。

雲が一粒の滴となり、地に落ちて流れはじめる。

川は周囲の山々や動物、人々の生活を潤しながら次第に川幅を増し、やがて海へと流れ込む。

荒れ狂う海には龍が躍り、水はついに雲となって天へと昇る。

そして物語は振り出しに戻るのだ。

大観の水墨技法のすべてがここに注ぎ込まれている。

京都展は巻き替えがあるが、東京展ではすべて鑑賞できる。

これは、東京で鑑賞する「特典」といえよう。

02-A生々流転.jpg


重要文化財「生々流転」(部分)        1923           横山大観    東京国立近代美術館    巻子、絹本墨画 55.3×4070.0 cm   京都展:巻き替えあり

 

 

 

02-B横山大観_生々流転.jpg

重要文化財「生々流転」(部分)        1923           横山大観    東京国立近代美術館    巻子、絹本墨画 55.3×4070.0 cm   京都展:巻き替えあり

 

また、58日からは、《夜桜(よざくら)》と《紅葉(こうよう)》の同時展示が実現!

 

03夜桜(右隻).jpg

「夜桜」 (右隻)  1929                  横山大観    大倉集古館 六曲一双、紙本彩色 177.5×376.8 cm

 

 

03夜桜(左隻).jpg 

「夜桜」 (左隻)1929    横山大観    大倉集古館 六曲一双、紙本彩色 177.5×376.8 cm

 

                    東京展:58日~527

 京都展:68日~71

 

《夜桜》は、燃え盛る篝火(かがりび)に夜桜が浮かびあがり、夢幻の世界へといざなう。

ローマ日本美術展(1930年)に出品された大観渾身の作で、

大観といえば《夜桜》。

《夜桜》といえば大観。

といわれるほど、大観を代表する作品だ。

また、《紅葉》は、鮮明な色にプラチナが輝く絢爛豪華な作品。

力強い造形によって日本画材の美しさを最大限に引き出している。

 

04紅葉(右隻).jpg

「紅葉」 (右隻) 1931   横山大観    足立美術館 六曲一双、紙本彩色 163.3×361.0 cm

 

 

04紅葉(左隻)s.jpg

「紅葉」 (左隻) 1931  横山大観    足立美術館 六曲一双、紙本彩色 163.3×361.0 cm

 

                    東京展:58日~527

京都展:68日~71

 

日本の春と秋を代表する桜と紅葉。

大観の作品によってこの2つの美しい季節を体感することができるのだ。

今から105年前に刊行された『大観画集』(芸艸堂、1912年刊)にモノクロで掲載されて以降、行方が分からなかったのが、《白衣観音(びゃくえかんのん)》。

文展で受賞した《流燈》(1909年、茨城県近代美術館蔵)と同時期の作で、幅は倍以上ある大作だ。観音のいささか短い手足や、描写は緻密なのに立体感や奥行きにつながらない点にもどかしさがあるが、それらを差し引いても余りある魅力ある作品だ。

100年ぶりの「発見」で、この展覧会で鑑賞できる。

この作品は、個人蔵なので次はいつ見られるかわからない。

もちろん、初出展だ。

 

06白衣観音.jpg

「白衣観音」                   1908           横山大観    個人蔵        軸、絹本彩色 140.3×113.4cm       

 

出品点数92点。

本画84点、習作ほか資料8点を展観する大回顧展だ。

これらの展示により、大観の制作の過程から大観芸術の本質を改めて考察を試みようとする展覧会。

 

07山路.jpg

「山路」       1912           横山大観    京都国立近代美術館    軸装、絹本彩色 159.6×70.9 cm    

 

 

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「或る日の太平洋」        1952   横山大観          東京国立近代美術館    額装、紙本彩色 135.0×68.5 cm    

 

 

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「風蕭々兮易水寒」        1955           横山大観    名都美術館 絹本墨画 64.8×87.0 cm                

 

 

10ポートレート.jpg

横山大観ポートレート(昭和8年頃) 写真提供:横山大観記念館                              

 

 

「群青富士」は、東京展は終了し見られないが、鑑賞したい方は、ぜひ京都へ。

参考として画像を掲げておく。

 

01群青富士(右隻).jpg

「群青富士」(右隻)       1917      横山大観    静岡県立美術館            六曲一双、絹本金地彩色 176.0x384.0 cm

 

 

01群青富士(左隻).jpg

「群青富士」(左隻)       1917      横山大観    静岡県立美術館            六曲一双、絹本金地彩色 176.0x384.0 cm     

   

                東京展:413日~56日 (東京展は終了)

                京都展:73日~722

 

お見逃しなく。

 

  大観について、筆者は以下などで記事を記しているので参照されたし。

 ☆岡倉天心生誕150年・没後100年記念 /『國華』創刊125周年 / 朝日新聞創刊135周年 「横山大観展―良き師、良き友」

     http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14

☆参考

〇特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-05-24

〇平櫛田中展

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

〇五浦六角堂再建記念 五浦と岡倉天心の遺産展

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-05-13

 

 

会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー ・ 2F ギャラリー4 

会期:2018413日(金)~2018527日(日) 

開館時間:10:00-17:00 ( 金曜・土曜は10:00-20:00

*入館は閉館30分前まで  休館日:月曜

  観覧料:【当日券】

 一般 1,5001,300)円

 大学生 1,100900)円

 高校生 600400)円

*中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。

それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障がい者手帳等をご提示のこと。

 *本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」も鑑賞可。

主催:東京国立近代美術館

 京都国立近代美術館

 日本経済新聞社

 毎日新聞社

 特別協賛:大和ハウス工業

 協賛:東レ、ライブアートブックス

 特別協力:横山大観記念館

 協力:あいおいニッセイ同和損保

☆東京国立近代美術館

    http://www.momat.go.jp/

☆特設サイト

http://taikan2018.exhn.jp/

 

☆読者プレゼント 

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   本文:ご住所、お名前

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   速達など最速の方法でお送りいたします。

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☆巡回予定

  京都国立近代美術館 201868日(金)~ 722日(日)

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フォトギャラリー 特別展 池大雅 天衣無縫の旅の画家Special Exhibition The Genius of Ike no Taiga: Carefree Traveler Legendary Painter [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

フォトギャラリー 

特別展 池大雅 天衣無縫の旅の画家

Special Exhibition The Genius of Ike no Taiga:

Carefree Traveler Legendary Painter

与謝蕪村とともに「南画の大成者」と並び称される池大雅(172376)。

その大回顧展が京都国立博物館で開催されている。

5 2 日から後期展示が始まった。

お見逃しなく。

追加で画像が提供されたので以下に示す。

 

④楽志論図巻 池大雅筆 東京・梅澤記念館(通期展示).jpg 

                                    楽志論図巻 池大雅筆 東京・梅澤記念館(通期展示)

 

⑤柳渓渡渉図 池大雅筆 千葉市美術館(通期展示).jpg

柳渓渡渉図 池大雅筆 千葉市美術館(通期展示)

 

⑦三岳紀行図屏風(部分) 池大雅筆 京都国立博物館(通期展示).jpg

                                三岳紀行図屏風 池大雅筆 京都国立博物館(通期展示)

 

 

⑧国宝 楼閣山水図屏風 池大雅筆 右隻 東京国立博物館(5月2~20日展示).jpg

 

 

国宝 楼閣山水図屏風 右隻池大雅筆 東京国立博物館(後期:5 2 日~20 日展示)

 

 

⑧国宝 楼閣山水図屏風 池大雅筆 左隻 東京国立博物館(5月2~20日展示).jpg

国宝 楼閣山水図屏風 左隻池大雅筆 東京国立博物館(後期:5 2 日~20 日展示)

 

 

 

 

⑪重要文化財 五百羅漢図のうち 池大雅筆 京都・萬福寺(通期展示).jpg

重要文化財 五百羅漢図のうち 池大雅筆 京都・萬福寺(通期展示)

  

 

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櫻谷文庫2018ゴールデンウィークの公開展示【特別公開】平成30年度「春期京都非公開文化財特別公開」Oukoku Bunko in Kyoto [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

櫻谷文庫(おうこくぶんこ)

2018ゴールデンウィークの公開展示

【特別公開】平成30年度「春期京都非公開文化財特別公開」

Oukoku Bunko in Kyoto

 

DSC_0448s.jpg                                                                                                                撮影:特記なき以外すべて 浦 典子

 

「京都非公開文化財特別公開」は昭和40年にはじまった文化財愛護の普及啓発事業だ。

以下の19の場所において開催されている。

春・秋の年2回開催しており今回で通算73回目の開催だ。

 1.上賀茂神社

本殿《国宝》、権殿《国宝》、高倉殿《重文》にて「孝明天皇賀茂行幸絵馬」・「紺紙金字法華経開結共(ほけきょうかいけつとも)」の展示、他

京都市北区上賀茂本山

2.大徳寺本坊

唐門(からもん)《国宝》、方丈(ほうじょう)《国宝》、玄関《国宝》、狩野探幽(かのうたんゆう)筆襖絵《重文》、庭園《国史跡・特別名勝》、法堂(はっとう)《重文》、他

京都市北区紫野大徳寺町

3.櫻谷文庫(おうこくぶんこ)初公開

木島櫻谷(このしまおうこく)旧邸【和館・洋館・画室】《国登録・市指定文化財》、木島櫻谷の作品、伊藤若冲の作品、他

京都市北区等持院東町

4.仁和寺金堂・本坊

金堂《国宝》、御本尊阿弥陀三尊像、本坊にて「錦御旗」・「戊辰戦争絵巻」・「戊辰戦争時の軍服」を公開

京都市右京区御室大内

5.北野天満宮

海北友松筆「雲龍図屏風」《重文》、他

京都市上京区馬喰町

6.養源院(ようげんいん)【相国寺山内】初公開

本堂(薩摩藩野戦病院となり、刀傷も残る)、御本尊薬師如来立像、秘仏毘沙門天立像、庭園、他

京都市上京区相国寺門前町

7.岩倉具視幽棲(ゆうせい)旧宅9年ぶり

岩倉具視幽棲旧宅《国史跡》、主屋(鄰雲軒)、対岳文庫にて「具視公御一代絵巻」(部分)などを公開予定

京都市左京区岩倉上蔵町

8.下鴨神社

東西本殿《国宝》、三井神社《重文》、大炊殿《重文》、神服殿《重文》、他

京都市左京区下鴨泉川町

9.金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)山門

山門《府指定文化財》二層内部、天井画蟠龍(ばんりゅう)図、他

京都市左京区黒谷町

10.知恩院大方丈・小方丈・方丈庭園

大方丈《重文》、小方丈《重文》、狩野尚信(かのうなおのぶ)・狩野信政筆方丈襖絵、方丈庭園《市指定名勝》、他

京都市東山区林下町

11.龍吟庵(りょうぎんあん)【東福寺山内】10年ぶり

方丈《国宝》、開山堂、大明国師坐像《重文》、表門《重文》、重森三玲作庭の庭

京都市東山区本町

12.壬生寺(みぶでら)13年ぶり

御本尊地蔵菩薩立像《重文》、庭園《市指定名勝》、長谷川等伯筆「列仙図」《重文》、伊藤若冲奉納狂言面「僧」、他

京都市中京区壬生梛ノ宮町

13.東寺五重塔

五重塔《国宝》初層内陣

京都市南区九条町

14.城南宮(じょうなんぐう)

光格天皇御即位絵図、皇都春景図、菊花御紋章吹散、薩摩藩隊旗・錦の御旗巡行図、明治天皇城南宮行在所図、他

京都市伏見区中島鳥羽離宮町

15.大黒寺(だいこくじ)

本堂、平田靭負(ひらたゆきえ)の墓、西郷隆盛と大久保利通の会談の間、薩摩九烈士の墓、他

京都市伏見区鷹匠町

16.長建寺(ちょうけんじ)

本堂、御本尊秘仏八臂辨才天(べんざいてん)像、宇賀神将(うがしんしょう)像、弘法大師像、飯綱(いづな)大権0現像、大田垣蓮月の短冊、他

京都市伏見区東柳町

17.法傳寺(ほうでんじ)初公開

本堂、薬師如来坐像、御本尊阿弥陀如来坐像、四天王像、不動明王像、戊辰戦争関係品(砲弾・短銃など)、他

京都市伏見区下鳥羽中三町

18.妙教寺初公開

本堂、御本尊三宝尊体、戊辰戦争関係品(砲弾、砲弾貫通跡など)、他

京都市伏見区納所北城堀

19.石清水八幡宮

御本殿《国宝》、御社殿《国宝》、織田信長寄進「黄金の樋(とい)」・左甚五郎(ひだりじんごろう)作「目貫めぬきの猿」、他

八幡市八幡高坊

 

この中から、櫻谷文庫(おうこくぶんこ)が初めて公開されると聞き、筆者はさっそく取材に上がった。

公益財団法人櫻谷文庫 代表理事で木島櫻谷のひ孫にあたる門田理(かどたおさむ)夫妻が丁寧に説明して下さった。

櫻谷文庫は、今までも不定期で公開されていたが、この「京都非公開文化財特別公開」としては初めてという意味だ。

明治から昭和に活躍した四条派の日本画家、木島櫻谷(このしまおうこく)。

四条派の伝統を受け継いだ技巧的な写生力と情趣ある画風で、「最後の四条派」と高く評価された画家だ。

当時京都画壇の大家であった今尾景年(いまおけいねん)に弟子入りし、景年は「櫻谷」の号を与えた。

また同じ頃、儒医・本草学者・写生画家だった山本渓愚(やまもとけいぐ)に儒学・本草学・経文漢学を学ぶ。

櫻谷は「論語読みの櫻谷さん」とあだ名されるほどであった。

作品は、弱冠二十歳で宮内庁に買い上げられ、その後、天皇にも買い上げられる。

文展の第1回から第6回まで、二等賞4回・三等賞2回と連続受賞する。

この頃の文展では一等賞は空席だったので、実質の一等賞だ。

20代後半には、西洋画にも強い関心を持っていたようだ。

そして、竹内栖鳳と共に京都画壇の人気の作家になる。

「櫻谷さん」と親しまれ、若い頃から作品は高い評価をなされており、ファンも多かったため、絵画はすぐさま売れた。

そのため、豊富に画材を集めることができたのだ。

現在600種もの顔料が粉末のまま残されており、現在、解析中だ。

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群青を焼き、さまざまなトーンの色をつむぎ出し描いた作品、「寒月」。

少しずつ、櫻谷の技法が解明されつつある段階だ。

 

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          《寒月》左隻 大正元年(1912) 京都市美術館蔵 画像協力:櫻谷文庫

 

まだまだ、櫻谷については書き足らないが、56日(日)の会期終了まで時間がない。

この特別公開を皆様にぜひお知らせしたいので、説明を簡略化することをお許しいただきたい。

 

櫻谷文庫は、旧木島櫻谷邸宅跡で京都市北区の衣笠、衣笠山の中腹に位置する。

櫻谷は1912年、36歳の時に衣笠の土地を買い、この家を建てた。

1900坪の広大敷地だ。

しかし、この近辺では決して広い方ではないという。

2017年、京都市文化財保護審議会で、櫻谷文庫の建物(和館、洋館、画室が文化財指定と諮問された。

大正期の建物としては、御幸町教会、川崎家住宅についで3棟目の指定だ。

玄関をくぐると櫻谷の住居であった日本家屋の一軒家が現れる。

すべての窓の枠に、ラウンドをつけている。

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そして、竹の意匠の壁板。

 

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これらの家は、すべて櫻谷が設計し、デザインした。

櫻谷という画家の作品そのものなのだ。

60年前の梅干しやおくどさん、櫻谷の孫の落書き、櫻谷の吸っていたエジプトたばこなど当時のままだ。

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筆者は櫻谷にあやかりたく許可を得て食べてみた。

かなりしょっぱかったが、食べられた。

今まで食べて見た人は5人しかおらず、筆者で6人目だそうだ。

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コレクターでもあった櫻谷は、美しいものを多く集め、家に飾っていた。

江戸時代後期の漢学者・儒学者、村瀬栲亭(むらせ こうてい)の臨書「蘭亭序」(らんていじょ)。

蘭亭序は、王羲之が書いた書道史上最も有名な書作品だ。

これについて筆者は、以下で記しているので参照されたし。

☆日中国交正常化40周年 東京国立博物館140周年 特別展「書聖 王羲之」

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02

 

櫻谷は、村瀬栲亭が好きだったと聞く。

 

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村瀬栲亭の臨書「蘭亭序」 画像協力:櫻谷文庫

 

また、すべてのガラスは大正ガラス。

ガラスが柔らかい光の屈折を生み、和ませる。

100年以上、一枚も割れずに悠久の年月を刻むのは、奇跡に近い。

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櫻谷の師、が南禅寺法堂の瑞龍を描いた時の下絵のうちの一枚が初公開されている。

この下絵は合計4枚あるうちの2枚を櫻谷が譲り受け、大切に保管していたものの一枚。

1枚は南禅寺に 、1枚は今尾景年の旧宅である料亭瓢樹にあるという。

が、南禅寺にあるというが今現在、確認はきちんとされていないということなので、櫻谷文庫の2枚は大変貴重なものだ。

2枚を櫻谷に譲るということは、いかに今尾景年が櫻谷をかわいがっていたかがわかるエピソードだ。

 

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さらに隣接して主に応接室として使われていた洋館がある。

アールヌーボーのオルタを彷彿とさせるアールについた階段。

オルセー美術館のアールヌーボー部門の展示物と勝るとも劣らない素材の高質感と大工仕事だ。

日本のアールヌーボー、京都にあり、だ。

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近年、泉屋博古館で櫻谷の展覧会が開催された時、門田夫妻と泉屋博古館の学芸員による再調査に行なわれ、さまざまな作品や資料が見つかった。

例えば、作品「かりくら」。

かりくらとは狩り競べのこと。2幅で1対、それぞれ高さ250cm173.8cmもある大作だ。

4回文展三等を取った、櫻谷代表作のひとつだ。

しかし、ローマ万博に出展した後、100年以上ゆくえ不明だった。

櫻谷の遺品目録をつくるために、旧邸宅を調べていたとき、竹竿に巻かれていた。

虫食いや絵の具の剥落などがあったが、2年の歳月をかけて、2017年、見事に修復されている。

櫻谷は、動物画で特に評価が高い画家だ。

今にも動き出しそうな馬は、写生の鍛錬の成果だ。

 

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                    櫻谷 「かりくら」    画像協力:櫻谷文庫

その「かりくら」に触発されてか、櫻谷は白い馬の人形をオーダーしている。

 

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よく見ると白い馬の胴体は「ちりめん」で作られているのだ。

 

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その他、櫻谷が生前、孫娘のためにこしらえた、白むくに金泥銀泥で絵を描いた着物も発見された。(注 今回は展示されていない。)

また、「画三昧」(1931年帝展出品)が、展示されている。

櫻谷の自画像と言われるが、犬養毅(号は木堂)の写真の載った新聞の切り抜きが下絵と共に保存されていたので、犬養毅をモデルにしたのかもしれない。

『櫻谷は、シンプルなこの絵に「人の足をひっぱったり、おもねいたりしてはいけない。ただ、一生懸命、絵を描くのみ。」という思想を入れ込んだに違いない。』と門田夫妻は言う。

この絵の下絵は100枚もあり、試行錯誤の様子が感じ取れる。

この作品に打ち込む櫻谷の仕事ぶりがわかろう。

 

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                       櫻谷 「画三昧」

 

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櫻谷の家に伝わる、端午の節句のしつらえも見もの。

 

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櫻谷の姉の長男の長男、門田元(はじめ)に櫻谷が送った甲冑。

人形に着せる甲冑ではなく、人間が着る甲冑のミニチュアで、本物と同じように作ってある。

甲冑職人に依頼して作らせたものだ。

 

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櫻谷の優しい人柄を示す出来事だ。

今は、これをメンテナンスできる職人も極めて少ないという。

こうして日本伝統の技が廃れて行ってしまう。

何とか食い止めなければ・・・と心から願わざるを得ない。

今回の展示では、櫻谷が蒐集した、3本ある若冲の作品のうち、「布袋図」など2本が出展されている。

どちらも他のどの美術館、展覧会にも展示したことのない作品だ。

 

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                        若冲「布袋図」

 

さらに、迫力ある「獅子図」も展示。

しかし、獅子の遠くを見つめるUPの作品には、穏やかさを感じさせる。

 

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                  櫻谷「獅子図」

 

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さらに、離れには、櫻谷のアトリエ。

内部は64畳分もある大画室。南面は一面窓。

廊下を入れると80畳。

画家のアトリエとしては、日本最大級という。

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こちらの窓枠と欄間にも丸みがつけられている。

 

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画室前の唐楓。

櫻谷の絵「角とぐ鹿」画中の木はこちらを写生したもの。

 

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また、昔、画室の前には大きな池があったという。

56月になると新緑の緑色が池に反射して部屋に緑色の光が、

秋になると、池に反射して赤い色の光が差し込んで来ていた。

櫻谷は、絵を描くとき、その光をうまく利用していた。

今も室内に紅葉の赤い色が入ってきてきれいだという。

門田夫妻は、管理、維持、調査解析などもろもろの仕事を行ない、毎日忙しい。その激務は想像に難くない。

門田理によると今年の秋の公開は予定していないという。

物理的にも肉体的にも体力の限界なのだろう。

何とか手助けはできないものか・・・。未来の美術のために。

現在、2018ゴールデンウィークの公開展示中だが、この機会を逃すと次はいつ鑑賞できるかわからない。

櫻谷の作品は、近年、さらに評価が高まって来ている。

長い年月の間になくなったり、傷んでしまったりで画家の過ごした家が公開されているところは大変少ない。

「櫻谷さん」の絵画は素晴らしいと筆者の祖父は幼い頃に言っていた。

年表を拝見していて1941年に京都市美術館で行われた「木島櫻谷遺作展」に祖父は行ったのではないだろうか、とふと思う。

大人になって「櫻谷さん」の邸宅跡に行けるとは想像だにしなかったが、叶えることができた。

櫻谷文庫を訪れ、また、美術館で櫻谷の絵画を愛でる。

そして、それを孫子に語っていただきたい。

幼くとも祖父が語ったことは覚えているものだ。

そんな筆者と同じような体験を多くの人に味わっていただきたいと思う。

100年以上も分割、解体されずに現存する櫻谷邸。

そのためには多くの人の苦労や尽力が存在する。

美術を愛する者として、それに応えて行きたいものだ。

画家の愛した家を訪問できる貴重な体験ができるチャンスだ。

櫻谷が絵画に懸けた思い、家に懸けた思い、家族に懸けた思いを感じ取ってもらいたい。

櫻谷文庫が、22世紀、23世紀と長く保存されて行くことを心より願う。

 

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                      櫻谷 「剣の舞」

 

ちなみに泉屋博古館分館(東京・六本木一丁目)で木島櫻谷生誕140年記念「木島櫻谷展」Part2が4月14日から5月6日に開催中だ。

☆泉屋博古館分館

https://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/index.html

 

この「春期京都非公開文化財特別公開」開催の趣旨は、少し硬いが、文化財を公開することにより、市民あるいは広く国民的な活用に資し、且つそれに基づいて文化財愛護の関心を高めるということ。

拝観料や入場料は、貴重な文化財を未来に伝えるため、保存修理・維持管理等に充当されている、という。

しかし、まだまだ、足りないのが現状。

一人一人が参加をし、できることをしてサポートして行くことで未来に文化財を引き継いで行ける。

ぜひ、積極的に参加しよう。

☆公益財団法人 櫻谷文庫 サイト

http://www.oukokubunko.org/index.html

https://www.facebook.com/okokubunko

https://twitter.com/ okokubunko

■ 公開 2018年4月27日(金)から5月6日(日)に公開。 9時から16時受付。

■ 入館料 大人800円 中高生400円 

■ 場所 櫻谷文庫(木島櫻谷旧邸)

■ お問合せ 075-461-9395 携帯080-5197-1117

■ 主催 公益財団法人櫻谷文庫

共催 公益財団法人京都古文化保存協会

協力 朝日新聞社

 

 

☆【特別公開】平成30年度「春期京都非公開文化財特別公開」

【期 間】

      2018年(平成30年)427日(金)~56日(日)

【時 間】

       午前9時~午後4時(拝観受付)

【拝観料】

        1か所大人800円、中高生400

※「東寺 五重塔」は一部拝観料が異なる場合があり。

【その他】

         事前の予約は不要。15名以上の団体様は事前に 事務局まで連絡のこと。

 【お問い合せ】

           公益財団法人京都古文化保存協会事務局

            電話075-754-0120FAX075-754-0122 (平日 午前10時~午後5時)

☆財団法人京都古文化保存協会サイト

     http://www.kobunka.com/index.html

 

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特別展 池大雅 天衣無縫の旅の画家Special ExhibitionThe Genius of Ike no Taiga: Carefree Traveler Legendary Painter [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

特別展 池大雅 天衣無縫の旅の画家

Special Exhibition
The Genius of Ike no Taiga: Carefree Traveler Legendary Painter

⑩重要文化財 蘭亭曲水・龍山勝会図屏風 左隻 静岡県立美術館(通期展示).jpg⑩重要文化財 蘭亭曲水・龍山勝会図屏風 右隻 静岡県立美術館(通期展示).jpg

重要文化財 蘭亭曲水・龍山勝会図屏風 池大雅筆 静岡県立美術館(通期展示)

 

与謝蕪村とともに「南画の大成者」と並び称される池大雅(172376)。

その大回顧展が京都国立博物館で開催されている。

 ①重要文化財 洞庭赤壁図巻(部分) 池大雅筆 京都国立博物館(通期展示)s.jpg 

重要文化財 洞庭赤壁図巻(部分)池大雅筆 京都国立博物館(通期展示) 

 

国内で池大雅の大規模な展示が行われるのは昭和8年に京都国立博物館にて行なわれてから85年ぶり!

その時は、120件が展示された。

今回は、過去最大の約162件。

しかも、絞りに絞った傑作ばかりを集めたという。

③渭水城柳色図 池大雅筆 新潟・敦井美術館(通期展示).jpg

          渭城柳色図 池大雅筆  新潟・敦井美術館(新潟市)(通期展示)

 

特に国宝高野山の塔頭・遍照光院所蔵の「山水人物図襖」は、担当学芸員の粘りでギリギリになって貸し出しを特別に許可された作品で、今後寺外での展示には二度と絶対に出さないとも言われた逸品だ。

 

DSC_0050s.jpg                              

                           山水人物図襖 池大雅筆 遍照光院


 

この作品が展示され、国宝・重要文化財に指定されている池大雅作品すべてが会期中に展示されることになる展覧会なのだ。

円山応挙や伊藤若冲など、個性派画家がしのぎを削った江戸時代中期の京都画壇。

大雅は、そんな時代に才能を発揮した。

寡欲で恬淡、きわめて謙虚だったと伝えられる人柄を象徴するかのような、清新で衒いのない明るさに満ちた作品群。

この展覧会は、そんな大雅の初期から晩年にいたる代表作を一堂に集め、その画業の全体像を紹介するもの。

さらに、その人となりや幅広い交友関係を示す資料を通して、当時から愛された人間、大雅の魅力にも迫る。

大雅は、日本各地を訪ねた「旅の画家」だという。

旅が大雅の絵画制作に果たした役割についても検証する内容の展覧会だ。

20歳代の後半を中心に、大雅は筆の代わりに指を用いて描くパフォーマンス・アート、「指墨画」を多く制作している。

これは、人前で即興で描くものだ。

指墨独特の表現に積極的な意義を見出し、それを自身の様式へと取り入れて行く。

よーく見ると指の跡もわかる作品も展示されており、大雅の息吹を感じさせられる。

 

②風雨起龍図 池大雅筆(通期展示).jpg

風雨起龍図 池大雅筆(通期展示)

 

7歳の時に「神童」と称されたエピソードが象徴的に示すように、大雅は画家としてだけでなく、書家としてもその名を馳せた。

唐様(からよう)と呼ばれる中国風の書風を基礎に置きつつ、大雅の書は、伸びやかで格調高い。若いころ扇屋とともに彫印店を営んだと伝えられる大雅は、

篆(てん)

隷(れい)

仮名

と幅広い優れた書を残している。

同じ人物が書いたと全く思えないほどその書体の違いと美しさには脱帽するばかりだ。

外で絵を描くというフランスで始まったとされる印象派。

しかし、それより前の時代に大雅は、すでに行なっていたのだ。

家の前に白砂を敷き、屋外で制作をしていたことを示す図も展示されている。

ピンクや黄色の点描画で描かれた重要文化財 瀟湘勝概図屏風。

人間の目で絵の具を混ぜ合わせる画法がなされている。

 


⑨重要文化財 瀟湘勝概図屏風 池大雅筆(通期展示).jpg 

                 重要文化財 瀟湘勝概図屏風 池大雅筆(通期展示)

 

我が国の大雅がモネなどの印象派に先んじていたとは、うれしいではないか!

この展覧会は、

大雅の功績がさらに評価される布石になるであろう。

21世紀現代だからこそ、世界の絵画歴史を踏まえた上で大雅を新しい角度から見つめることができるのかもしれない。

与謝蕪村との合作は、あの川端康成が愛した作品。

場面替えがあるので、何度も訪れたい。

⑫国宝 十便十宜図のうち 池大雅筆 公益財団法人川端康成記念會 (場面が替えあり).jpg

国宝 十便十宜図のうち 池大雅筆  公益財団法人川端康成記念會(4/244/30展示 場面替えあり)


大雅の作品のうち国宝 3件、重要文化財13件がすべて鑑賞できる、京都国立博物館、渾身の展覧会。

大雅が妻玉瀾とともに住んでいた大雅堂の跡が八坂神社の南側、円山公園の音楽堂南に石碑として残っている。

展覧会の鑑賞のあと、ぜひ訪れることをお勧めする。

京都国立博物館で開催されているからこそ、江戸の世にタイムスリップして京のこの地に活躍した大雅の足跡をたどることができるのだ。

ぜひ、お見逃しなく。

 

☆構成

 天才登場―大雅を取り巻く人々

 中国絵画、画譜に学ぶ 

指墨画と様式の模索

 大雅と書

 旅する画家―日本の風景を描く

 大雅と玉瀾(ぎょくらん)

 天才、本領発揮―大雅芸術の完成

 

会期

2018(平成30)年47日(土)~ 520日(日)

会場

京都国立博物館 平成知新館

交通

JR、近鉄、京都駅下車、京都駅前D1のりばから市バス100号、D2のりばから市バス206208号系統にて博物館・三十三間堂前下車、徒歩すぐ

休館日

月曜日 

※ただし430日(月・休)は開館、翌51日(火)は休館

開館時間

午前930分から午後6時まで(入館は午後530分まで)

※ただし会期中の毎週金曜日は午後8時まで(入館は午後730分まで)

 

観覧料

一般 1,500円(1,300円)

 大学生 1,200円(1,000円)

 高校生 900円(700円)

 中学生以下無料

 *( )内は団体20名以上。

  *障がい者の方とその介護者(1名)は、障がい者手帳などのご提示で無料。

 *キャンパスメンバーズは、学生証またはまたは教職員証をご提示いただくと、各種通常料金より500円引き。

 

主催

京都国立博物館、読売新聞社

協賛

清水建設、大和ハウス工業、野崎印刷紙業、非破壊検査

協力

日本香堂

 

☆京都国立博物館サイト

http://www.kyohaku.go.jp/jp

☆特別展「池大雅」関連ワークショップ

指で描こう!指墨画にチャレンジ

  指で描かれた線は大雅の絵の魅力の一つ

  体験して展示をさらに楽しみましょう!

日時

特別展「池大雅」会期中       

10301600 参加受付は15:45まで       

所要時間15分程度      

定員1日 先着300名参加費無料(ただし、当日の観覧券が必要)

開催場所

京都国立博物館 平成知新館2F レファレンスコーナー     

解説

京博ナビゲーター

対象

子どもから大人までどなたでも参加可。

☆記念講演会

512日(土)

 「大雅と蕪村―十便十宜図を中心に―」

  講師:小林 忠 氏(岡田美術館 館長)

【時間】午後130分~3

【会場】平成知新館 講堂

【定員】200

【参加方法】当日12時より、平成知新館1階グランドロビーにて整理券を配布し、定員になり次第、配布を終了。

聴講無料(ただし「池大雅」展の当日の観覧券が必要)。

 

☆読者プレゼント 

   510名様にご招待券 プレゼント

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

   件名:展覧会名と会場名

   本文:ご住所、お名前

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

       締切:UPした日の午前零時

 

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多くのかたからメイルをいただいておりますため、ご返信ができないこともございますが、何卒お許し下さいませ。

※人物名の表記は、敬称略。

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