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『京都細見美術館 琳派若沖と雅の世界』

細見美術館は、大阪泉大津にて毛織物業で財を成した細見古香庵が日本美術の蒐集を始めたことに端を発し、
コンパクトながら日本美術の教科書といわれる。 
その所蔵物には、さまざまな時代やジャンルを代表する作品がうまく均整がとれているからだ。
 私は以前、京都岡崎にある細見美術館を訪れ茶室でお手前を頂戴したことがある。
茶室の外のガーデンではワインパーティーが開かれており、多くの外国からのお客で華やかな雰囲気に包まれていた。
そんなすばらしい空間の美術館なだけに今回大丸ミュージアムKOBEで行われる『琳派若沖と雅の世界』展を私は楽しみにしていた。
 期待以上にすばらしい展覧会であった。平日にも関わらず多くの美術愛好家で、にぎわっていた。また、皆さん楽しそうにまた熱心に
鑑賞されていた。
 1.華麗なる琳派
 2.若沖の魅惑
 3.祈りの美
 4.王朝の雅と源氏絵
 5.かざりの意匠
の5つのテーマで構成されており、作品の質、保存状態のクオリティの高さに驚いた。

 1.華麗なる琳派
  会場に入るとすぐ酒井抱一の金箔が眩しい鹿楓図団扇が目に入る。姫路城主を父に持つ抱一は尾形光琳を顕彰し、たらし込みを
  用い繊細な表現を見事に具現化している。このような身近な物にも華麗な意匠を施した琳派の伝統を受け継いだ江戸琳派の祖である。
 2.若沖の魅惑
  伊藤若沖は青物問屋主人から画家に身を転じた異色の経歴の持ち主であるが、現在知られる若沖の作品の中でも最初期の作品『雪中雄鶏図』が
  展示されている。赤と黒という色彩のコントラストの強さと写実力の正確さは見るものを強烈に惹きつける。
  『仔犬に箒図』は逆に仔犬を細かい擦れた線で描き、柔らかい毛のふわふわ感と体温の暖かさまで感じられた。
 3.祈りの美
  『千手観音二十八部衆像』千の手で救うという慈愛に満ちた観音は鎌倉時代前半の現存する数少ない作品で、表装は熊野速玉大社伝来のもの。
   中国のハンディを持つ人々の千手観音パフォーマンス集団が語っていた「親切にしようという気持ち、愛があれば千の手が助けてくれる」
   ということが深く感じ取れるような作品だ。
 4.王朝の雅と源氏絵
   『きりぎりす絵巻』玉虫姫と蟬の右衛門守の婚礼を中心にとんぼを始め、多くの虫たちを表情豊かに擬人化して描かれており、
    ユーモラスかつ興味深い。作者住吉如慶のセンスが光る作品。
    
 5.かざりの意匠
   『夕顔文釘隠』夕顔の花と葉を菱形の銅胎に七宝を施した華麗で豪華絢爛な釘隠であるが、恐らく聚楽第に使われていたもの。

以上、感動した作品の一部を挙げたが、よく整った構成で飽きさせない。
 アールヌーボーはジャパニズムの影響を受けているというが、その淡い色合い、図案の原点をここに見つけた。
ぜひ実際に見に行って確かめてみては?
図録は、大変親切な作りで、作品の解説の後ろに作者解説、用語解説がまとめて記されており、初心者にもわかりやすい。
この展覧会をきっかけに日本美術探索にさらに一歩踏み出してみようと思えるような価値が充分ある展覧会であった。
9月13日(月)までなので急いで!








場所 大丸ミュージアムKOBE 大丸神戸店9階
住所 〒650-0037 神戸市中央区明石町40
Tel. 078-331-8121(代表)
会期 2010年9月1日(水)~9月13日(月)
休館日 無休
開館時間 午前10時00分~午後7時30分(午後8時00分閉場)
最終日は午後4時30分 (午後5時00分閉場)
入場料 一般 800円(600円)大学・高校生 600円(400円)、中学生以下は無料
※( )内の料金は前売り/団体10名以上


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