マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展 Impressionist Masterpieces from Marmottan Monet Museum [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展
Impressionist Masterpieces from Marmottan Monet Museum
クロード・モネ ≪睡蓮≫ 1903年
Musée Marmottan Monet, Paris Bridgeman-Giraudon
東京都美術館で、フランスパリに位置するマルモッタン・モネ美術館(Musée Marmottan Monet /Marmottan Monet Museum)が所有する、印象派を代表する画家クロード・モネ(Claude Monet 1840-1926)の展覧会が好評開催中だ。
弊社アシスタントからこのモネ展の盛況ぶりを聞き、筆者が解説記事を書いて読者の皆さまにお知らせしたかったのだが、広報担当会社から当初、取材を拒否されてしまい、記事がこんなに遅くなってしまった。読者の皆さまには、大変申し訳なく思っている。
その間、多くの読者の皆さまからモネ展に行って来られた感想や筆者がモネ展について筆者が把握しているかどうかという問い合わせまでいただいていた。筆者なりに一生懸命取材申し込みを試みたにも関わらず、広報担当会社から、画像、キャプション・クレジット、リリースさえ協力が得られず、執筆することができなかったのだ。
幸い、東京都美術館や福岡市美術館、マルモッタン・モネ美術館からは、多大な協力を得られたため、このたび執筆することができた。この展覧会は、今年から来年にかけて東京、福岡、京都、新潟を巡回して開催される予定だ。この後、巡回する京都市美術館や新潟県立近代美術館は、協力してくれると思われることと、まだ時期も早いため、協力要請はまだしていない。
12月4日夕方、広報担当会社もようやく画像とプレスリリースを送ってくれた。
しかしながら、東京都美術館が最寄りである読者の皆さまには、記事を書くことが遅くなり、大変申し訳なく存じている。この場をお借りして、お詫びをしたい。
また、読者プレゼントのご招待券に関しても、広報担当会社から「すでに予定枚数を終了しており、残念ながらご用意ができません。」という回答を12月4日夕方に得た。そんなことなら、もっと早くにご協力いただきたかったものだ。
そもそもゴシップ記事など誹謗中傷するようなことは一切書いておらず、美術に関することしか記していない弊サイト。
美術館のかたには、取材に応じていただき、読者プレゼントのご招待券の協力もしていただけるとのことであったが、その事務作業を行なう広報担当会社には拒否されてしまったのだ。
言論の自由は、もし制約があれば民主主義とはいえないのではないであろうか。
また、取材の自由が十分尊重されなければ報道の自由を確立することはできないと筆者は考えている。
この考え方は、美術の本場、フランスでは当然のこととされており、守られている。
この記事が書けるのも、マリアンヌ・マチュー マルモッタン・モネ美術館副館長(Madame Marianne Mathieu
Musée Marmottan Monet)が、筆者の考えを尊重し、協力を要請して下さったからだ。
さすが、芸術の国、フランスの美術館の対応はリベラルで頼もしいと改めて感じた。
ちなみに国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」が発表した「世界報道の自由度ランキング 2015」で、日本は61位だ。かつて一度は経済大国といわれた日本がこの状態では情けないのではないだろうか。
筆者は、一人でも多くのかたに美術や芸術を好きになっていただきたいというのが、目的だ。約6年間、活動を続けて来たが、何の批判的記事を書いているわけではない。放送倫理に基づいた編集方針で記事を書いており、事実に関して客観性を重視して書いているつもりだ。
読者の多くは、大手新聞社が主催をする展覧会だと、自社の新聞には大きく記事を書き、他社が主催だと小さい記事の扱い。これなら、真のジャーナリズムではない。広告なら、「広告」記事と明記すべきというかたも多い。その点、アートニューズは、公平に見ているからかえってよいと応援下さっている。
また、多くの学芸員さんや館長などは、「どこかの資本だからなどはまったく関係ない。あなたの記事と他社の記事を比べて、どれだけ調べているかわかるので、あなたの活動は大切だ。本来あるべき姿を実践して行っている、弱小とかまったく関係ない、大切なのは内容だ。」と言って下さっている。
読者の皆さまや、美術館のかたがた、また、大手メディアのかたからの強い励ましがあるから、苦労とも思わず、続けていられるのだ。
何より読者の皆さまにこの展覧会を筆者の文章でお伝えするのが遅れたことが申し訳ないと思っている。東京展で弊サイトからご提供できなかったかたには、他展で見ていただくしかない。大変残念なことだ。力不足で大変申し訳ない気持ちでいっぱいだ。広報担当会社から協力を得られなかったため、読者プレゼントのご提供はできないことを読者の皆さまに深くお詫びしたい。
その分、他の美術館で読者の皆さまのお役に立てるようがんばる所存なので、何卒お許しいただきたい。
さて、なぜ筆者が、展覧会自体を紹介しないという選択をせず、そんな労苦をしてまで、この展覧会を紹介したいかというと、マルモッタン・モネ美術館自体がすばらしい美術館だということと、読者の皆さまにぜひ鑑賞していただきたい名作が来日している展覧会だからだ。
マルモッタン・モネ美術館には、クロード・モネが86歳で亡くなるまで手元に残したコレクションが所蔵されている。この美術館は、パリ市内のブローニュの森のほど近くに位置し、世界最大級のモネのコレクションを収蔵していることで有名だ。筆者は、パリに行くと必ずこの美術館を訪れる。高級住宅街のパッシー地区にも近く、休日には、すぐ前の公園にポニーが来て、子供達を乗せて公園を回る。また、手動式カールセールは、木馬に乗った子供が回りながら輪っかを棒で刺すという単純な構造なのだが、子供達に人気が高い。お誕生日会のピクニックも開かれ、筆者も小さなお子様からお招きを受けたことがある。そんなのどかな環境に位置していることも魅力の一つだ。
美術館の基礎をつくったのは美術史家・収集家のポール・マルモッタン(Paul Marmottan 1856-1932)だ。美術館の建物は1840年、ヴァルミー公爵(Duke of Valmy)が狩猟用に建てたものを、ポールの父でジロンド県の役人であったジュール・マルモッタン(Jules Marmottan)が購入し、邸宅に改造した。
彼の死後、その美術コレクションはアカデミー・デ・ボザール(l’Academie des Beaux-Arts)に寄贈され、1934年から美術館として公開された。その収集品は印象派絵画ではなく、新古典主義(ナポレオンの時代に流行した絵画様式)の絵画と、アンピール様式の調度品であった。
1957年、エドゥアール・マネ(Edouard Manet)やモネの医者であったジョルジュ・ド・ベリオ(Docteur Georges de Bellio)の収集品が、ベリオの娘のド・モンシー夫人(Victorine Donop de Monchy)から1940年、寄贈された。この展覧会で、期間限定で特別出展された『印象・日の出』(Impression, soleil levant))はこのコレクションによるものだ。ジョルジュ・ド・ベリオ医師は、初期の印象派を評価した数少ない収集家の一人だ。
フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh)のポール・ガシェ医師(Paul-Ferdinand Gachet、1828-1909)といい、このジョルジュ・ド・ベリオ医師といい、医師という理科系の人々が、美術の愛好家だったことは大変興味深く、好感が持てる事実だ。
『印象・日の出』は、ルアーブルの港の風景をモネは、やわらかい筆さばきで描いており、後にこの作品の題名について、「カタログに載せるために題名をつけてほしいといわれたが、これに『ルアーブルの眺め』という題をつけることはできなかった。そこで『印象』としてほしいと言った。」とモネは語っている。
この絵は1874年に開かれた第一回印象派展で展示され、評論家のルイ・ルロワ(Louis Leroy)はこの作品の題をみて風刺新聞ル・シャリヴァリ(Le Charivari)紙のレビュー記事において、この展覧会を軽蔑の念と悪意をこめて「印象主義の展覧会」と評した。
この命名が後に定着し、ルイ・ルロワは、「印象派」の名付け親になってしまったというわけだ。
経緯はどうであれ、「印象派」の名前の由来でその始まりといわれる『印象・日の出』などこの展覧会で展示されている作品は、マルモッタン・モネ美術館の中核をなす作品群で、滅多に貸し出されることはない。
東京展で見逃したかたは、福岡市美術館で2016年2月4日(木)?2月21日(日)展示予定なので、ぜひ福岡に行っていただきたい。
モネは、生前に成功した数少ない画家で、晩年のものを中心に多くの作品を最期まで手元に残した。これらは次男のミシェル(Michel Monet)が相続したが、その後、ミシェルの遺志でマルモッタン美術館に遺贈された。
この展覧会は、モネが生涯にわたり手放さなかった作品や、モネが購入したり贈られたりして収集した他の芸術家の作品など、いわばモネの画業を辿ることができる画家本人によるモネのプライベート・コレクションを紹介する展覧会なのだ。
クロード・モネ ≪ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅≫ 1877年
Musée Marmottan Monet, Paris Bridgeman-Giraudon
マルモッタン・モネ美術館については以下などで記しているので参照されたし。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-06-19
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-05-23
クロード・モネ ≪バラの小道、ジヴェルニー≫ 1920-22年
Musée Marmottan Monet, Paris Bridgeman-Giraudon
大橋菜都子 東京都美術館 学芸員は、筆者のインタビューに対し、以下のように語ってくれた。
「モネというと風景画という印象をお持ちのかたも多いと思うが、モネが10代後半で描いたカリカチュア(風刺画)という彼の画業の始めともいえる作品が11点ほど展示している。モネ86歳の最晩年の作品も展示されており、今までのモネ展とはひと味違った展覧会だ。一人でも多くのかたに鑑賞していただきたい。」
白内障を患っていたモネが晩年使っていた黄色のメガネも展示されている。
「白内障の手術後、世界が極端に青みがかって見えるのを嫌って黄色いレンズを使用した可能性が高い」とある眼科医は指摘している。
画家の生命である色感を失う恐怖を抱えつつも、衰えることがなかった絵画制作への情熱。
その仕事に対するパワーを感じ取っていただきたい。
会期
2015年9月19日(土) ~ 12月13日(日)
会場
企画棟 企画展示室
開室時間
9:30~17:30 (入室は閉室の30分前まで)
観覧料
当日券 | 一般 1,600円 / 学生 1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円
団体券 | 一般 1,400円 / 学生 1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円
※団体割引の対象は20名以上
※中学生以下は無料
※身体障がい者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料。
※いずれも証明できるものをご持参のこと。
主催
東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、マルモッタン・モネ美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ
後援
在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
特別協賛
大成建設
協賛
第一生命、光村印刷、セコム、損保ジャパン日本興亜
協力
エールフランス航空/KLMオランダ航空、日本通運、JR東日本、CS日テレ、ラジオ日本、J-WAVE、文化放送、TOKYO MX、テレビ神奈川
企画協力
NTVヨーロッパ
☆東京都美術館
http://www.tobikan.jp
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※画像および記事の無断転載禁止
☆巡回予定
■福岡展
会期:2015年12月22日(火)~2016年2月21日(日)
会場:福岡市美術館
住所:福岡県福岡市中央区大濠公園1−6
■京都展
会期:2016年3月1日(火)~5月8日(日)
会場:京都市美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
■新潟展(予定)
会期:2016年6月4日(土)~8月21日(日) ※予定。
会場:新潟県立近代美術館
住所:新潟県長岡市千秋3丁目278-14
2017年にサンフランシスコで「モネ展」があります...
http://legionofhonor.famsf.org/exhibitions/monet-early-years
Monet: The Early Years
February 25, 2017 – May 29, 2017
https://www.famsf.org/press-room/monet-early-years
by サンフランシスコ人 (2016-10-02 04:07)
サンフランシスコ人様
お知らせ、ありがとうございます。
返信が遅くなり、申しわけございません。
ぜひ、お伺いしたいところです。テロ以降、米国入国が複雑になりどうしてもヨーロッパに目が向いてしまっております。
サンフランシスコ人様のおかげでSFOの情報、楽しく拝見いたしております。
SFOは私にとっては思い出の地です。また、いつかぜひ訪れたいです。
いつもご愛読、ありがとうございます。
http://art-news-jp.jimdo.comもぜひお読み下さいませ。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
by 浦 典子 NORIKO URA (2016-11-01 13:00)