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国立新美術館開館5周年  リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝 [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

国立新美術館開館5周年

リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝

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マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像  フリードリヒ・フォン・アメリング 1836 油彩/厚紙

来場者10 万人突破!

画像はすべて [コピーライト]LIECHTENSTEIN.The Princely Collections, Vaduz-Vienna

 オーストリアとスイスの間に位置するリヒテンシュタイン侯国。同国の国家元首であるリヒテンシュタイン侯爵家は、優れた美術品収集こそが一族の栄誉との家訓のもと、500年以上にわたってヨーロッパ美術の名品を収集して来たという。

その数は3万点に及び、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションといわれている。

同コレクションから139点の名品を選りすぐり、日本では初公開の展覧会が国立新美術館で開催中である。

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金羊毛騎士団の正装をした イアサント・リゴー 1740 油彩/カンヴァス 

ヨーゼフ・ヴェンツェル・リヒテンシュタイン侯の肖像

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枝付き大燭台 磁器:中国、日本 

磁器:中国:清・康熙年間(1662-1722年)、19世紀前半/日本:16701700年頃 

脚と装飾:イグナーツ・ヨーゼフ・ヴュルト(帰属)

脚と装飾:1785-95

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長椅子 作者不詳、オーストリア  18世紀中頃

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飾り枠付き鏡  作者不詳、ローマ  17世紀第4四半期

 11 9 日(金)、来場者10 万人突破した。 

世界屈指のルーベンス・コレクションからは、愛娘を描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》など10点が一挙に来日。

ラファエッロ、クラナッハ、レンブラント、ヴァン・ダイクをはじめとする巨匠たちの名画や、華麗な工芸品が一堂に会す展覧会だ。

その中でもフリードリヒ・フォン・アメリングによる《マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2 歳の肖像》が大人気。

「やわらかな巻き毛の思わず触れたくなる」に、「癒やされる」「この子に会うために来た」との声が多いとのこと。

アメリングはオーストリアのビーダーマイヤー(19世紀前半に中欧で展開した芸術様式)を代表する画家。

アロイス2 世侯(在位1836-1858)の注文により、侯爵家の子供たちの肖像画を多く描いた。

なかでもこの作は、その愛らしさによってひときわ強い印象を放ち、見る者を惹きつける。

日本ではあまり知られていないアメリングだが、心の琴線にそっと触れるような、細やかで甘美な表現を追求した愛らしいこの作品により、その評価が高まるであろう。

※本作品は、東京会場でのみの展示。

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マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像 フリードリヒ・フォン・アメリング

1836年  油彩/厚紙

☆見どころポイント

1.知られざる「秘宝」、待望の初来日! 

名門貴族リヒテンシュタイン侯爵家が収集した美術コレクションは、総数約3万点にのぼり、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションといわれている。

すでに19世紀には公開されていたが、第二次世界大戦以降は一般の目に触れる機会はごく限られ、ようやく21世紀に入ってから、2004年にウィーンの「夏の離宮」で一部が公開されるようになった。

展覧会としては、1985-86年にニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された大規模なコレクション展のほかは、ほとんど例がない。

日本でも四半世紀にわたって展覧会実現の努力が重ねられ、このたび、初めて来日した。

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豪華なジョッキ マティアス・ラウフミラー  1676年  象牙

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貴石象嵌のチェスト  コジモ・ディ・ジョヴァンニ・カストルッチ                                              ディオニシオ・ミゼローニ ジュリアーノ・ディ・ピエロ・パンドルフィーニ(工房) 1620/23年頃

貴石象嵌細工、ガーネット、鍍金を施したブロンズ、黒檀

2.世界屈指のルーベンス・コレクション、一挙集結  

侯爵家が所蔵するルーベンス作品は、30点余りを数え、世界有数の質と量を誇る。

この展覧会では、その中から選び抜かれた10点を一挙に公開。

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マルスとレア・シルヴィア  ペーテル・パウル・ルーベンス  1616/17年頃  油彩/カンヴァス

 5歳の頃の愛娘を描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》は、父ルーベンスの愛情を感じさせる傑作。

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クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像  ペーテル・パウル・ルーベンス 1616年頃

油彩/板で裏打ちしたカンヴァス

ほかにも、ルーベンス渾身の歴史画「デキウス・ムス」連作から、約3×4メートルの大作が来日。

※「デキウス・ムス」は東京展のみ特別出品予定。

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《占いの結果を問うデキウス・ムス》「デキウス・ムス」連作より

ペーテル・パウル・ルーベンス  1616/17年 油彩/カンヴァス

3.圧巻、バロック・サロン  

ウィーン郊外ロッサウの侯爵家の「夏の離宮」は、華麗なバロック様式を特徴とし、その室内には今もなお、いにしえの宮廷さながらに、侯爵家の所蔵する絵画、彫刻、工芸品、家具調度が一堂に並べられている。

この展覧会では、日本の展覧会史上初の試みとして、天井画を天井部に展示し、華やかなバロック宮殿の雰囲気を再現している。

その室内装飾と展示様式にもとづいた「バロック・サロン」により、総合芸術としてのバロック空間を体感できることも見逃せない。

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占星術の寓意  アントニオ・ベルッチ 1700年頃 油彩/カンヴァス      ※天井画

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彫刻の寓意  アントニオ・ベルッチ 1700年頃 油彩/カンヴァス      ※天井画

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絵画の寓意  アントニオ・ベルッチ 1700年頃  油彩/カンヴァス      ※天井画

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音楽の寓意  アントニオ・ベルッチ 1700年頃  油彩/カンヴァス      ※天井画

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コンソール  作者不詳、ローマ  17世紀後半

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コンソール付き振り子時計  指物師:アドリアン・デュボワ 時計技師:フランソワ・バイヨン1745年頃

4.ヨーロッパ絵画史を、至宝でたどる名画ギャラリー  

侯爵家の珠玉の絵画コレクションから選りすぐられた名画によって、ルネサンスからバロック、新古典主義までの西洋絵画史をたどる。

ラファエッロ、クラナッハ、レンブラント、ヴァン・ダイクら巨匠たちの名画のほか、19世紀前半に中欧で流行したビーダーマイヤー様式の優美な絵画も展示される。

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マルシュアス、または聖セバスティアヌス アンドレア・マンテーニャ  15世紀

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《茶会》 「ムガル大帝」連作より  ジャン・バラバン2世の工房、ベルリン  1715年頃

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リヒテンシュタイン侯冠と装身具  作者不詳、ウィーン  1756 水彩、インク、鉛筆/羊皮紙

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男の肖像 ラファエッロ・サンティ  1502/04年頃  油彩/板

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聖エウスタキウス??? ルーカス・クラナッハ(父)  1515/20 油彩/板

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マリア・デ・タシスの肖像  アンソニー・ヴァン・ダイク  1629/30年頃  油彩/カンヴァス

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キューピッドとしゃぼん玉  レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 1634 油彩/カンヴァス

 パレス・リヒテンシュタイン「夏の離宮」(Palais Liechtenstein)に、筆者は数年前、ウィーン滞在中に二度ほど訪れた。

2004年にオープンしただけあって、内装は新しく近代的でさえあったが、その所蔵品の高い芸術性からは、小国とは思えないくらい充実している。

市電Dでウィーン中心部から気軽に行け、ウィーン郊外というより、街中にあるというくらいの近さである。

http://www.palaisliechtenstein.com/ 

 現在、リヒテンシュタイン侯爵家コレクションを公開しているのは、ウィーンのパレス・リヒテンシュタイン(ガーデンパレス)で、この展覧会では「夏の離宮」と表記している。

この展覧会の広報担当者によると、来年2013年4月には、「都市宮殿」(シティパレス)を公開予定とのこと。

こちらは現在修復中で、リヒテンシュタインコレクションのビーダーマイーヤー様式の絵画などを展示予定。

ウィーンに二つの宮殿でのリヒテンシュタインコレクションが観られるようになるとのことなので、この展覧会をきっかけとしてウイーンを訪れるのもいいのではないだろうか。

 また、「リヒテンシュタインのコレクションから新古典主義とビーダーマイーヤー」“Klassizismus a biedermeier”という展覧会が2010年夏チェコ共和国の首都プラハにあるワルトシュタイン乗馬学校で開かれていた。

リヒテンシュタイン候国はチェコ共和国とスロバキア共和国を国家として承認して来なかった。

これは1945年に、当時のチェコスロバキア共和国政府が同国領内のドイツ系およびハンガリー系住民のチェコスロバキア国籍を剥奪のうえ私有財産を没収した(ベネシュ布告)ことに対して、チェコに領地を持っていたリヒテンシュタインはこの措置を違法行為とみなしたためである。

その後、2009年、リヒテンシュタインは、チェコやスロバキアとの間に外交関係を開設することとし、その翌年、有意義な関係改善の印としてこの展覧会が開かれたのだ。

アルフォンス・ミュシャが、2010年に 生誕150年を迎えたため、筆者は、チェコのプラハにいた。

その時、「リヒテンシュタインのコレクションから新古典主義とビーダーマイーヤー」を鑑賞したのである。

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プラハのリヒテンシュタインのコレクションから新古典主義とビーダーマイーヤー 

以下 プラハの写真は浦 典子撮影

リヒテンシュタイン美術館の所蔵品の中でも、名品が集められており、筆者は、18日間の滞在中二度も訪れたほどだ。

庭2DSC_0689 (800x536).jpg

 

 

会場のワルトシュタイン乗馬学校の庭には、孔雀が飼われており、噴水のほとりを優雅に歩いており、造形美をたたえた庭園はオアシスであった。

孔雀DSC_0185 (800x536).jpg

アイスDSC_0707 (800x536).jpg

会場近くのアイスクリーム屋は大変親切おいしく、ほとんど毎日通っていたのが、思い出される。

 そこでは、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの《虹の女神イリスとしてのカロリーネ・リヒテンシュタイン侯爵夫人》が、会場入り口に飾られていた。

入口遠○DSC_0711 (800x536).jpg 

ちなみにこの絵の作者、リザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランは、現在は愛媛県立美術館で「マリー・アントワネット物語展」が開催中だが、マリー・アントワネットの肖像画を多く描いたことで有名な画家である。

この《虹の女神イリスとしてのカロリーネ・リヒテンシュタイン侯爵夫人》は、現在、国立新美術館で開かれているこの展覧会に展示されている。

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虹の女神イリスとしてのカロリーネ・リヒテンシュタイン侯爵夫人

エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン  1793年  油彩/カンヴァス

 ウィーンに行かずして、パレス・リヒテンシュタイン「夏の離宮」のハイライトが見られるこのチャンスをお見逃しなく。

特に東京会場でのみしか展示されない《マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2 歳の肖像》は、今にも安らかな寝息が聞こえてきそうだ。

会期

2012103()1223(日・祝)

毎週火曜日休館

開館時間

10001800 金曜日は2000まで入場は閉館の30分前まで。

会場

国立新美術館 企画展示室1E

106-8558 東京都港区六本木7-22-2

 

金曜夜は美術館へ!!

金曜夜間開館プレゼント実施東京ミッドタウンのクリスマスイルミネーション「スターライトガーデン2012」が11 15 日(木)から始まるのにあわせ、週末の夜を六本木で楽しんでいただこうと、11 16 日(金)より毎週金曜夜に「金曜夜間開館プレゼント」を実施。

金曜夜18 時以降に本展会場にご入場のかた先着100 名に、大人気の《マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2 歳の肖像》のポストカードをプレゼント!

主催

国立新美術館、朝日新聞社、東映、TBS後援外務省、リヒテンシュタイン侯爵家財団、スイス大使館、オーストリア大使館

特別協賛

木下グループ 木下工務店

協賛

三井物産、トヨタ自動車、田中貴金属グループ、大日本印刷協力オーストリア政府観光局、オーストリア航空、ルフトハンザカーゴ AG、日本貨物航空、日本通運、BS-TBS

この展覧会は,政府による美術品補償制度の適用を受けている。

観覧料(税込)

当日券1,500円(一般)、 1,200円(大学生)、 800円(高校生)

団体券1,300円(一般)、 1,000円(大学生)、 600円(高校生)

中学生以下、および障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は無料。

団体券は国立新美術館でのみ販売(団体料金の適用は20名以上)

お問い合わせ

ハローダイヤル03-5777-8600

展覧会ホームページ: http://www.asahi.com/event/liechtenstein2012-13/

国立新美術館ウェブサイト:http://www.nact.jp/ 

☆読者プレゼント 
   10組20名様にご招待券 プレゼント
   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp
   件名:展覧会名と会場名
   本文:ご住所、お名前
   をお書きの上どしどしご応募下さい。
   発送をもって当選と代えさせていただきます。

※画像の無断転載禁止
 

巡回予定 ※一部構成が変わる予定。

高知県立美術館 201315()37()

京都市美術館  2013319()69()


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履歴書の添え状

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
by 履歴書の添え状 (2014-04-29 18:04) 

浦 典子 NORIKO URA

お褒め下さいましてありがとうございます。励みになります。
至らぬことがあると思います。どうぞ、どしどしご意見いただければ幸いです。
今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。
また、報道媒体の法人としてホームページを開設いたしております。
今後は、以下のURLを優先して書いてまいりますので、
ぜひご覧下さいますようどうぞ、よろしくお願いいたします。
http://www.art-news.jp/

by 浦 典子 NORIKO URA (2014-04-29 18:28) 

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