開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」Ⅳ 南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎

開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」Ⅳ
南蛮美術の光と影　泰西王侯騎馬図屏風の謎

 

サントリー美術館で南蛮美術の謎を解く展覧会が好評開催中である。

16世紀半ばから17世紀初頭にかけて、ポルトガルやスペインから南蛮船といわれる船が来航し、西欧の地や、中継の港で荷積みされた貴重な文物を日本にもたらした。

また南蛮船に乗船して来た宣教師がキリスト教を日本に伝え、いわゆる南蛮美術や文化が花開き、海外からの異文化の影響が顕著だった時代でもある。
南蛮美術の中でも重要文化財「泰西王侯騎馬図屏風」は、桃山時代から江戸時代初期の初期洋風画の傑作として世に知られている。

神戸市立博物館とサントリー美術館が分蔵するこの屏風は、もとは福島・会津城の障壁画であったと伝えられて来た。描いたのは、イエズス会の神学校であるセミナリオにおいてキリスト教とともに西洋画法を学んだ日本人の絵師と推定されているが、その詳細は解明されていなかった。

その画面描写は、当時の西欧の画家たちが身につけていた遠近法や陰影法を、積極的に学んだ跡が見受けられる。しかし、この屏風の制作の経緯やその所蔵については、諸説があり、今もなお、大いなる謎が残されている。
　今回はこの「泰西王侯騎馬図屏風」に関して、東京文化財研究所の特別協力により、画面の光学調査を実施し、その調査結果も展覧会で発表されている。

屏風に隠された文字が浮かび上がったため、その制作が工房であり、色指定がされているなど推定される興味深い研究結果だ。

この2作が並べて展示されるのは、東京で四半世紀ぶりである。それぞれの所蔵の「泰西王侯騎馬図屏風」の描き方の違いをじっくり鑑賞することは、極めて豪華な体験である。

以前、リスボンの国立美術館の学芸員にインタビューした時、「ポルトガル人がハンカチを持っているのは、高温多湿の日本では必需品だったことによる。」と教えていただいた。

今回展示の屏風にハンカチを持った西洋人を発見することができよう。

ポルトガル語の「ビョンボbiombo」は、日本語の屏風が語源である。また、反対に

パンpão、コップcopo、ボタンbotão、タバコtabaco、シャボンsabão、金平糖コンフェイト (confeito)等、ポルトガル語をルーツとする多くの言葉が今日の日本語にも残っている

また同時代の南蛮漆器、南蛮屏風などの南蛮美術も一堂に集め展示。

これらの南蛮美術は、西洋と東洋の出会いが生み出した稀有な作品群といえるであろう。

キリシタンや南蛮人をとりまく日本近世初期の歴史の光と影を観賞でき、思いを16世紀に馳せることができるであろう。

終了まであとわずか。お見逃しなく！

 

会場：	サントリー美術館 東京都港区赤坂9-7-4　東京ミッドタウン　ガレリア3階
会期：	2011年10月26日（水）～12月4日（日） ※作品保護のため会期中、一部展示替を行います。 ※各作品の展示期間については、美術館にお問い合わせください。
開館時間：	10:00～18:00　（金・土は10:00～20:00） ※11月2日（水）、3日（木・祝）は20時まで開館 ※いずれも最終入館は30分前まで ※開館情報は変更となる場合があります。最新情報はホームページをご覧下さい。
休館日：	火曜日
入館料：	当日券 一般 1,300円 大学・高校生 1,000円 ※中学生以下無料 [チケット販売場所] サントリー美術館（火曜日、展示替え期間中を除く） チケットぴあ：Pコード764-782 ローソンチケット：Lコード:32634イープラス
割引：	HP割 ホームページ限定割引券で100円割引 携帯割 携帯/スマートフォンサイトの割引券画面提示で100円割引 あとろ割 国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示で100円割引 団体 20名様以上で100円割引 ※他の割引との併用は不可
音声ガイド：	500円
主催：	サントリー美術館、日本経済新聞社
後　援：	ポルトガル大使館、スペイン大使館、イタリア大使館、Instituto Camões
協賛：	サントリーホールディングス
特別協力：	東京文化財研究所、神戸市立博物館

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