シャガール -愛をめぐる追想-日本未公開作品を中心に [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
シャガール -愛をめぐる追想-日本未公開作品を中心に
豊かな色彩感覚とファンタジックな作風で知られるマルク・シャガール。
パリにあるオペラ座ガルニエ(Palais Garnier)の天井画を描いたことは、あまりにも有名。その幻想的な作品は、いまやパリのランドマークになっている。
そのマルク・シャガールの日本未公開作品を中心にした展覧会が京都髙島屋で開催されている。
この展覧会の特徴は、スイスの個人コレクター所蔵の油彩やペーパーワークスが日本初公開されること。
美術館所蔵のものは、公開されているので見る機会が多いが、個人コレクター所蔵のものは、鑑賞できることが極めて難しいので、この展覧会は必見といえよう。
さらに、人気の高い版画シリーズ「サーカス」(1967年)を加え展示しているのも魅力。
20世紀前半のパリやロシアで前衛芸術の洗礼を受けながら、あらゆる芸術理論や主義主張を超越し、近代絵画史にユニークな位置を占めるシャガール(1887-1985)。
帝政ロシアのユダヤ人居住区に生まれ、パリで学び、両大戦という過酷な時代を生き抜いて色彩豊かな独自の幻想世界を語り続けたこの画家は、世界でもっとも愛されている20世紀の巨匠の一人であろう。
本展は、スイスの個人コレクターの日本未公開作品を核として、この画家に特有の図像世界が展開され始めた1930年代以降の作品に力点を置き、多くのファンからこれほどまでに愛されているシャガール・ワールドの秘密に迫る構成。
この構成が大変面白く、今までのシャガール展にはない、遺族による私的なシャガールのエピソードなど、彼のバックグラウンドにまで言及しており、斬新。
さて、その秘密とは、何か?
ひとつには、男女の愛、家族間の愛、ときに宗教的な色彩をも帯びる隣人愛や人間愛など、世界をより良いものにする「愛」について思いを馳せる、画家の絶えることのない問いかけにあるのではないか。
シャガールはユダヤ人と位置づけされるが、しかしそれをモチーフとした作品が少なく、キリスト教のものの方が多い。これが長年の筆者の疑問であった。
その疑問が、この展覧会で解き明かされた。ユダヤ人であるが、ヨーロッパ化させたかったシャガールの母は、ユダヤ人入学枠が3%という狭き門の公立学校にシャガールを入学させる。
また、当時ユダヤ人には、画家になる選択肢はほとんど許されていなかったにもかかわらず、シャガールを数少ないユダヤ人の画塾に入れ、教育を受けさせた。
そんな母の教育が、シャガールの人生の生き方に大きく影響を与えたのだ。
後に、シャガールは、カトリックに改宗し、南仏サンポールドヴァンスのカトリック墓地に眠ることになるとこの展覧会では、説明文が掲示されている。(一説には、ユダヤ人墓地ともあり、筆者には、現時点では確認できず。)
筆者がニースを訪れた時、ちょうど休館されていたので、見学できなかった苦い思い出がよみがえったが・・・
シャガールは、宗教、国、人種を超えて結ばれる人類の調和をテーマとし、様々な作品を生み出した。
シャガールが表現したさまざまな「愛」をさぐり、鑑賞者自身がその秘密を解き明かすのひとつの楽しみであろう。
ぜひお見逃しなく!
期間:4月25日(水)~5月7日(月)
場所:横浜髙島屋ギャラリー(8階)
(横浜市西区南幸1-6-31)
■開場時間:午前10時~午後8時
※最終日は午後6時閉場。
(ご入場は閉場30分前まで)。
■主催:NHKサービスセンター、神奈川新聞社
■入場料:一般1,000円(800円) /
大学・高校生800円(600円) / 中学生以下無料
※( )内は団体10名様以上の割引料金。
※当催については、「障害者手帳」をご提示いただいたご本人様、
ならびに、ご同伴者1名様まで入場無料とさせていただきます。
☆読者プレゼント
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あて先 : loewy@jg8.so-net.ne.jp に
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をお書きの上どしどしご応募下さい。
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巡回予定
6月7日(木)~6月25日(月)
日本橋髙島屋
(東京都中央区日本橋2-4-1)
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