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企画展『日本絵画 組み合わせの美』 [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

 

企画展『日本絵画 組み合わせの美』

 

 

 

 掛け軸・絵巻物・屏風・襖絵…と、実にバラエティ豊かな形態を誇る日本の絵画。

 

さらにそれらをよく見ていくと、2点・3点、あるいはそれ以上の点数がセットになり

 

「組み合わせ」て鑑賞する作品が多いことに気づかされる。

「組み合わせ」という全く新しいコンセプトに展覧会が滋賀県立近代美術館で開催中である。

 

 滋賀県立近代美術館という美術館は、優れた作品を収蔵していることで名高い。

アレクサンダー・カルダー作のフラミンゴ (彫像)は、シカゴダウンタウンのループ地域にある連邦政府センタープラザ内、クルズィンスキービル正面に位置している。

シカゴのシンボルと言っていいくらい有名な巨大な彫像である。

映画「プリティー・ウーマン」で主人公リチャード・ギアのオフィスとして一瞬写っているが・・・

また、パリのラ・デファンスの新凱旋門近くにも同様のデザインのフラミンゴが展示されている。

筆者のパリの定宿の近くにあり、人目を引く彫像で、観光客がよく記念写真を撮っているパリの名所になっている。

実は、滋賀県立近代美術館は、小ぶりながら同じデザインのフラミンゴを所蔵している。

そんなセンスのよい美術館のなかなか面白い企画展である。

 

flamingo (800x581).jpg

 

 

 たとえば、岸竹堂(きしちくどう)(1826-1897)の屏風「保津峡図」(1892年)のように、2枚の屏

 

風を左右合わせて鑑賞することで、まるで眼前に迫るような荒々しい保津川の流れと

雄大な渓谷のパノラマが出現する。

 

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岸竹堂(きし・ちくどう)「保津峡図」 明治25(1892) 紙本著色

屏風装六曲一双 ()153.0cm×359.0cm (左隻)

 

 

 

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同(右隻)

 

 

 

 彦根出身で明治期に活躍した近代京都画壇の先駆者・岸竹堂が、京都の保津峡と筏流しをモチーフに描いた一双屏風。

金泥による琳派風の装飾的な背景と、写生を駆使した水墨画風の写実的な描写との対比が目を引く。

 右隻は向かって右から左に、左隻は左から右に向かって川が流れていて、両者はひとつに繋がってはいない。

屏風を二の字型に平行させて立て、その間に鑑賞者が入って、あたかも川の流れの中にいるような臨場感を楽しんだのでは?とも考えられている。

 

 

また、北野恒富(きたのつねとみ)1880-1947)の対で制作された美人画「暖か」「鏡の前」(1915年)のように、着物の色・女性のポーズとも異なる2面を並べることで、色彩や構図的な対比の面白さはもちろん、鑑賞者にさまざまなドラマを感じさせる。

 

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北野恒富 「暖か」  第9回文展出品作  大正4(1915) 絹本著色    

大正4(1915) 絹本著色 185.6cm×112.0cm

 

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北野恒富 「鏡の前」  第2回再興院展出品作 大正4(1915) 絹本著色

大正4(1915)  絹本著色 185.6cm×112.0cm

 

 

 院展などで活躍した大阪の美人画家、北野恒富が同じ年に描き、別々の展覧会に出品した2点の作品。

よく見ると画面の要素が共通しているうえに、「座像」と「立像」、「赤い着物に黒い帯」と「黒い着物に赤い帯」など、対になることを意識して描かれている。

 

このように「組み合わせ」の作品には1つの画面で完結する作品とはまた異なる表現や創意工夫を見い出すと大変新鮮な発見ができる。

 

 また、季節の移ろいを感じさせる四季や十二ヶ月、近江八景のような景勝を描くた

 

めに、何枚・何面もの絵が「組み合わせ」られている場合は、それぞれの画面に個性

 

を持たせながらも、いかに全体のバランスを取って1つの作品としてまとめられてい

 

るかがひとつの注目ポイントであろう。

 

 そんな「組み合わせ」の面白さにスポットを当てたこの展覧会では、当館所蔵の屏風や掛

 

軸を中心に「一双」「一対」「揃い」など、1点だけでは完結しない日本絵画の作品約25点を展示。

 

 日本絵画の持つユニークな形態と表現に改めて考えさせられる展覧会である。

自分自身の組み合わせを考えてみるのも楽しい。

会期終了まで、あとわずか。

 

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山元春挙「富士二題」

1929(昭和4)年 絹本著色、軸装(双幅)

左幅187.2cm×99.5cm、右幅188.7cm×99.2cm

 

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右幅(春)

 

 

 

左幅(秋)

 

 

会期:平成24(2012) 4月14日()~6月3日()

開催期間:44日間

休館日:毎週月曜日

会場:滋賀県立近代美術館 企画展示室12

大津市瀬田南大萱町1740-1(文化ゾーン内) TEL.077-543-2111

 

主催:滋賀県立近代美術館、京都新聞社(予定)

後援:滋賀県教育委員会、NHK大津放送局、BBCびわ湖放送

 

観覧料

一般750(550) 高大生500(400) 小中生300(250)

*( )内は20名以上の団体料金

 

展示内容

館蔵品の中から屏風・掛軸を中心に 日本絵画 約25

 

代表的な作品:北野恒富(きたのつねとみ)「暖か」「鏡の前」、 岸竹堂(きしちくどう)「保津峡図」(右隻・左隻)

       池田遙邨(いけだようそん)「湖畔残春」(右隻・左隻)、  大林千萬樹(おおばやしちまき)「街道」(右隻・左隻)

       山元春挙(やまもとしゅんきょ)「富士二題」、  野村文挙(のむらぶんきょ)「近江八景図」(8点組)  など

 

 

お問合わせは・・・滋賀県立近代美術館 TEL.077-543-2111 FAX.077-543-4220

 520-2122 大津市瀬田南大萱町1740-1

HP:http://www.shiga-kinbi.jp/  

公式ブログ http://d.hatena.ne.jp/shiga-kinbi/

 

 

☆読者プレゼント 

   1020名様にご招待券 プレゼント

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

   件名:展覧会名と会場名

   本文:ご住所、お名前

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

   発送をもって当選と代えさせていただきます。

     


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