陶磁器に出会うⅥ 塩川コレクション 魅惑の北欧アール・ヌーヴォー ロイヤル コペンハーゲン ビング オー グレンダール [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
魅惑の北欧アール・ヌーヴォー
ロイヤル コペンハーゲン
ビング オー グレンダール
【ロイヤルコペンハーゲン】カタツムリ文花瓶 1894年3月
すべて塩川コレクション
磁器のアール・ヌーヴォーの代表的名窯は、デンマークが誇る名窯ロイヤル ペンハーゲンと、かつて並び称されたビングオー グレンダールである。
アール・ヌーヴォーといえば一般的にガラスのガレやドームが有名だが、釉技における磁器のアール・ヌーヴォーは、釉下彩(アンダーグレイズ)による彩色磁器と結晶釉(クリスタルグレイズ)の磁器を指す。この2つの近代的釉技は、19世紀末にロイヤル コペンハーゲンで最初に研究開発され、その絵付けに当時流行していたジャポニズムを取り入れアール・ヌーヴォー様式として、ヨーロッパの国々に広まった。
ロイヤル ペンハーゲンの名は、クリスマスプレートがあまりにも有名でその名を知っている人は多いが、磁器のアール・ヌーヴォーが、フランスではなく、北欧デンマークから始まったということを知っている人は少ないであろう。
【ロイヤルコペンハーゲン】 牧羊神とトカゲ置物 1923年-28年
両名窯の19世紀末から20世紀初頭に制作されたアール・ヌーヴォー期の作品は優美なフォルムと柔らかい色彩を持ちあわせ、当時行われた1889年と1900年のパリ万国博覧会で、いずれもロイヤル コペンハーゲンが釉下彩の作品でグランプリを獲得するなど高い評価を受けている。
この2回のパリ万国博覧会でロイヤル コペンハーゲンと人気を二分した窯が、同じデンマークの名窯ビング&グレンダールである。
この窯は、1987年にロイヤル コペンハーゲンに吸収合併されたため、日本ではあまりなじみがないが、19世紀末から20世紀初め、欧米では人気を博していた。この二大名窯を特集した展覧会が、細見美術館で開催中である。
【ロイヤルコペンハーゲン】 白蝶ハットピン 1898年-1922年
19世紀末に磁器のアール・ヌーヴォーと呼ばれる新しい芸術用式が、15年という極めて短期間でロイヤル コペンハーゲンにより成し遂げられる。
アール・ヌーヴォーの発祥の地であるフランスでなぜ成し遂げられなかったのか。
フランスのパリ近郊の名窯セーヴルはどうしていたのか。
また、西洋白磁の頂点に君臨する名窯、硬質磁器のマイセンはアール・ヌーヴォー時代、どのような作品を作っていたか。
セーヴルやマイセンには、あまりに長い伝統が存在し、すでに確立していた古い様式を脱却できなかった。
しかし、活力がなくなっていたロイヤル コペンハーゲンは、天才芸術家アーノルド・クローらを抜擢し、新しい時代の流れを取り入れ、その手法を試みることができたのだ。
わずかなリーダーが企業の集団を率いた例であろう。
この展覧会は、コレクター、塩川博義日本大学教授の協力を得て、その塩川コレクションの中から、魅力的な絵画表現が特徴のロイヤルコペンハーゲンと彫塑的要素が強く打ち出されたビングオー グレンダールの多彩な作品を一堂に展示するもの。
【ビング オーグレンダール】 鷺センターピース 1902年-14年
これまで日本で紹介される機会の少なかったアール・ヌーヴォー期の魅力溢れる磁器の世界を堪能できる貴重な機会である。
【ビング オーグレンダール】 貴婦人置物 1909年‐14年
会期 7月14日(土)-9月30日(日)
開館時間 午前10時~午後6時 (入館は、午後5時30分まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合、翌火曜日)
入館料 一般1000円(800円) 学生800円(600円)
※( )内は20名以上の団体料金
主催 細見美術館 毎日新聞社
【ビング オーグレンダール】 蕾カップ&ソーサー 1885年‐95年 1895年‐98年
【ビング オーグレンダール】 犬置物 1915年‐46年
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