尾崎豊特別展 OZAKI20 [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
尾崎豊特別展 OZAKI20
1988 At the shooting studio photo by teruhisa tajima
ラフォーレミュージアム原宿や松坂屋名古屋店マツザカヤホールで好評を博した
「尾崎豊特別展 OZAKI20」が大阪、心斎橋BIG STEP 地下1階特設会場 で開催されている。
初公開の写真、自筆のノート、プロモーションアイテムやデモテープなど、約100点が、
展示されている。
なかでも特筆すべき点は、1984年、当時18歳の尾崎豊を取材した読売テレビのニュース番組「きんきTODAY」の映像上映。
尾崎豊はテレビに出演しない姿勢を貫き、出演したのは唯一音楽番組だけと言われていたが、この「尾崎豊特別展 OZAKI20」で上映されている映像は、大阪でのライブの模様や、後に若者のカリスマとなっていく尾崎豊がカメラの前で真摯に話す様子が収められている。
日本中のどこにも残されていない、まさに『幻の映像』。
また「早替えルーム(再現)」では、尾崎さんが実際ライブで使用した衣装や、曲目進行表、ツアースケジュールなど、東京・名古屋会場では展示されなかった貴重な品が初公開されるのも大阪展ならでは。
きんきTODAY・尾崎豊取材映像とは?
「きんきTODAY」は1982年4月から1985年9月まで、読売テレビが近畿2府4県で放送した夕方のニュース番組(月―金18:00~18:30)。
当時では珍しく、報道部の記者がキャスターを務めており、ニュースを社会的な視点でとらえ、記者の目を通してわかりやすく解説する番組であった。
尾崎豊の映像は、当時18歳、初めて本格的全国ツアーを開始した尾崎豊を大阪のライブハウスで取材している。
高校を中退し17才でデビューした尾崎さんは、瞬く間に高校生らの間で、圧倒的な支持を集めるが、取材当時は一般にはまだ知名度はなくTVでも取り上げられていなかった。
「なぜ、彼の音楽とメッセージが、同世代の心を捉えているのか」を、当時の教育の現状を照らしながら、約5分間のリポートとして、社会的な現象としてまとめている。
映像は、デビューから間もないものの、既に確立されているライブスタイルをみずみずしく捉えている。
インタビューでは、後に若者のカリスマとなっていく18歳の等身大の少年・尾崎豊が、カメラの前で「先生と生徒のあるべき姿」などを真摯に話している。
この展覧会で上演されている映像の中で、尾崎豊は、「巧言令色鮮なし仁」(こうげんれいしょくすくなしじん)と朗々と論語を暗唱している。
この「巧言令色鮮なし仁」とは、論語の孔子の言葉である。
意味は、「口先が巧みで、人から好かれようと愛想を振りまく者には、誠実な人間が少なく、人として最も大事な徳である仁の心が欠けているものだということ」という意味である。
また、高校を中退したことへの尾崎豊の苦悩が自筆で綴られている。
それらから、筆者は尾崎豊の本質部分での聡明さを感じ、聡明過ぎた才能の持ち主であった
ことは紛れのない事実であると確信する。
尾崎豊の学習机が展示されていた。その本棚には、ベルギーのシュルレアリスムの画家、ルネ・マグリットの画集が置かれていた。
尾崎豊の学習机 撮影 浦典子
空中に浮かぶ岩、鳥の形に切り抜かれた空、指の生えた靴などという不可思議なイメージで構成されるその絵画には、見る者を引きこみ考え込ませる魅力がある。
若き尾崎豊がルネ・マグリットを知りその画集を所持していたとは、筆者には驚きである。
尾崎豊の学習机の上に置かれた本の数々 撮影 浦典子
会場には、尾崎豊愛用の画材セットが展示され、彼の描いた絵も飾られていた。
尾崎豊愛用の画材 撮影 浦典子
尾崎豊が描いた絵 撮影 浦典子
その多才ぶりには、才能を持ったアーティストの夭折を惜しまざるを得ない。
会期終了まであとわずか。
お見逃しなく。
【展覧会名】 尾崎豊特別展 OZAKI 20(読み:「オザキトゥエンティ」)
【会 期】 2012年12月7日(金)~12月30日(日) 24日間
開館時間:11時~19時30分 入場は18時30分まで
【会 場】 心斎橋BIG STEP 地下1階特設会場 (大阪市中央区西心斎橋1-6-14)
【展 示 品】 初公開写真約50点(うちスナップ写真数点は大阪初公開)、
自筆ノート十数点、
プロモーションアイテム十数点
初公開デモテープ
「きんきTODAY」取材映像上映(大阪展で初上映)
「早替えルーム」再現(大阪展で初公開:衣装、進行表、ツアースケジュール)
【入場料 】
一 般1,500円 中高生1,000円
*小学生以下無料*障がい者手帳提示で本人と付添者1名無料
【主 催】 読売テレビ、尾崎豊特別展実行委員会
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