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志村ふくみ・志村洋子 作品展 しむらの色 KYOTO [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

志村ふくみ・志村洋子 作品展

 しむらの色 KYOTO

 人間国宝の志村ふくみとその薫陶を受け新たな世界を探る、志村洋子。

今日まで二人が研究・実践してきた染織表現の集大成の展覧会が細見美術館で開催中である。

志村ふくみ・志村洋子母娘は、植物染料による独自の芸術的な織物や優れた文筆作品でも知られる染織家である。

 この展覧会は志村親子の作歴30年を記念して行われるもの。

 作品の奥に在る色彩哲学ともいうべき精神性、さらに古今の宗教、思想、文学などに啓発された創作は、見る者に限りない想像の翼を与えてくれる。

この展覧会には、ヨハネやマリアなどと名付けられた作品が展示されている。

和のテイストの志村母娘からは、かけ離れた題材には驚かされた。

志村親子の話をお聞きすると、こちらの背筋も伸びるようだ。

日本の「藍」は精神性が高い。新月に仕込んで満月に染める。

この行為は一見、迷信のようだが理にかなっていると志村洋子は言う。

きちんと処方すれば必ず色は立つと。

満月には気持ちが満ちており、理と感情は決して相反するものではない。

「きれ(裂)」はどんな小さなものでも物を言っているのだ。

植物から色をいただいて染める。しかし、今やその植物が瀕死の状態だ。

いつ滅びるかもしれないものと危惧を抱きながら、日々を過ごすという。

 ふくみの米寿に合わせ、洋子が振袖を作った。

それは、東北から取り寄せ、植え、そして成長した「ニガヨモギ」で染めた。

こんなに美しい色が出るとは全く想像できなかったという。

ニガヨモギを用いたリキュールでは、「緑の魔酒」ともいわれるアブサンが有名だ。

ちょうど細見美術館の近くの京都市立美術館で「ゴッホ展」が開催中だが、アブサンの絵をゴッホが描いており、この展覧会に出展されているのでぜひ鑑賞されたい。

近縁種にオウシュウヨモギがあり、ニガヨモギよりは弱いが防虫剤として使われる。この種はウクライナ語の「チョルノブイリ」 (чорнобиль / chornobilʹ) でも知られる。

チョルノブイリはニガヨモギとともに、原発事故で有名なチェルノブイリ(ウクライナ語ではチョルノブイリ)周辺で自生し、その地の地名になっている。

新約聖書・ヨハネの黙示録(8章、10-11)では、「第三の御使がラッパを吹き鳴らすと、苦よもぎというたいまつのように燃えている大きな星が落ちて、水の3分の1が苦くなり、そのため多くの人が死ぬ」という預言がある。

これは正確にはニガヨモギではなく、オウシュウヨモギだとする説が有力であるが・・・

また、ドストエフスキーは、ヨハネの黙示録の中の                                 茵蔯星(ニガヨモギ)についてのレーベジェフ(黙示録の講釈者)                                        の説に触れていて、その茵蔯星はヨーロッパの鉄道網のことだ(当                                       時ロシアにも鉄道は敷設され始めていた)と考えて、                                         「鉄道は呪うべきものであり、それは人類を破滅させ、《生                                      命の源》を濁すために、この地上に墜ちた災厄だ」                                       とレーベジェフに述べさせている。

甚大な被害をもたらした1986年のチェルノブイリ                                                   での原発事故は、チェルノブイリという地名はそ                                              の地に生えているニガヨモギから命名されたウ                                              クライナ語だということもあり、ヨハネ黙示録の中                                                   のその記述が実現したものとして当時のソビエト国                                                   民は恐れ戦(おのの)いたとされている。

物事には光と影が存在する。

その例として語ってくれた。

このような話が志村親子から出るとは正直筆者は全く想像をしていなかった。

  みずみずしい感性と深い思索、そして精緻なデザインに支えられた魅力あふれる作品の数々をぜひ鑑賞されたし。

  染色の素材となる植物や染められた糸、織りの道具なども展示されている。

その美しいしむらの色と血のにじむような努力という光と影も鑑賞したい。

会期:2013316()56(月・祝)

 前期:316()421()

後期:423()56(月・祝)

開館時間

 午前10時~午後6

(入館は、午後530分まで)

休館日

 毎週月曜日(祝日の場合、翌日)

430()は開館

 監修

 志村ふくみ 志村洋子

 主催

 細見美術館 京都新聞社

 協力

 都機工房 アルスシムラ

 協賛

 アインズ株式会社

☆読者プレゼント 

   1020名様にご招待券 プレゼント

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

   件名:展覧会名と会場名

   本文:ご住所、お名前

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

    締切:UPした日の午前零時

   発送をもって当選と代えさせていただきます。

※画像の無断転載禁止

☆参考情報

•志村ふくみ・志村洋子の芸術学校 アルス シムラ 416() 開校

 •「Gallery Fukumi Shimura」  54(土・祝) OPEN

 •展示会「しむらの紬」

52()4(土・祝)  会場 細見美術館 茶室「古香庵」

 詳しくは、http://www.shimuranoiro.com

•「詩 を 織 る」 ―第3回 都機の会作品展-

詳しくは、http://www1.ocn.ne.jp/~someori8/tsukinokai.html

この展覧会に合わせて求龍堂から志村ふくみの書き下ろし<伝書 しむらのいろ>が出版されている。

ノウハウだけでは全くなく、こんな風に感動したら、色が出て来るという志村ふくみが経験したことをそのまま書いたという。

この本を読むと志村母娘の仕事に対する真摯な姿勢がよくわかり、心を打たれる。

生き方を学ぶのに大変有意義な一冊だ。


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