吉村作治のエジプトと古代文明展 ~太陽の船と七大文明~ [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
吉村作治のエジプトと古代文明展
~太陽の船と七大文明~
ペピ一世王座像遠山記念館蔵
遠山記念館蔵
2009年に青森で開催された「吉村作治の新発見!エジプト展」が、好評のうちに幕を閉じた。
そこで、再び、世界屈指のエジプト考古学者・吉村作治早稲田大学名誉教授が総監修した、世界の七つの古代文明を紹介する展覧会が、青森県立美術館で開催中だ。
エジプト、オリエント、ギリシア・ローマ、中国、中南米、シルクロードとインド、日本(縄文)の遺物を、日本国内の良質なコレクションにより紹介するもの。
粘土板文書
岡山市オリエント美術館蔵
地球上の長い歴史の中で誕生したあまたの文明を横断的に鑑賞することで、
「文明とは何か」
「文明発展の要因は何か」
「人は何のために生きるのか」
といった根源的な問いに向かい合うことをねらいにしている。
牛頭形リュトン
平山郁夫シルクロード美術館蔵
比べてみると見えてくるそれぞれの文明の魅力と新たなる謎!
古代文明の多様性や共通性を比較しながら学べる展覧会だ。
弥勒菩薩像頭部
平山郁夫シルクロード美術館蔵
兵馬俑(レプリカ)
早稲田大学會津八一記念博物館蔵
図録には、「文明をどう観るか」というこの展覧会のコンセプトに始まり、それぞれの文明のスペシャリストによる解説が大変わかりやすく書かれている。
また、それぞれの文明を時系列に書かれた年表は絵入りで書かれており、イメージが掴みやすい。
ちなみに文明の英語訳は、civilizationだ。
有名な「風と共に去りぬ」の英語のタイトルは、” GONE WITH THE WIND”だ。
しかし、いきなり過去分詞が冒頭に来るのに疑問を抱かないだろうか。
実は、この”GONE WITH THE WIND”の前に、” A Civilization”が省略されているのだ。
筆者が中学生のころ、父から、「”GONE WITH THE WIND”の訳は?」と質問され、「『風と共に去りぬ』 でしょ。」と答えた。
「では、主語は何か。」と質問され、答えられなかった。
その後、映画のパンフレットだったであろうか、”GONE WITH THE WIND”の上に小さく”A Civilization”と書かれてあるのを発見し、なるほどと納得したことを思い出した。
この映画のプロローグには、
"There was a land of Cavaliers and Cotton Fields called the Old South....Here in this patrician world the Age of Chivalry took its last bow....Here was the last ever to be seen of Knights and their Ladies Fair, of Master and of Slave....Look for it only in books, for it is no more than a dream remembered, a Civilization gone with the wind...."
と述べられている。
このマーガレット・ミッチェルによる小説は、何が風と共に去ってしまったのか?
本来、本国から移民という選択をしたのに、その後、奴隷制の上に栄華を誇ったアメリカ南部白人たちの貴族(・・)的(・)社会が南北戦争という「風」と共に、はかなく消え「去ってしまった」ことを意味しているのである。
そんなことを考えながら、文明(civilization)とは何かを考察してみるのも面白い。
筆者が子供のころにこんないい展覧会に行くことができていたら、歴史の時間ももっと楽しかったのに・・・と思わずにはいられない。
子供達にぜひ、この展覧会を見に行っていただき、生きた学習をしていただきたい。
お見逃しなく!
火焔型土器
十日町市博物館蔵
期間
2013年09月14日~2013年11月24日
開館時間
9:30 - 17:00 (入館は16:30まで)
会場
青森県立美術館
住所
〒038-0021 青森市安田字近野185
料金
一般:1,300円(1,000円)
大学・高校生:1,000円(700円)
小・中学生:500円(400円)
※( )内は20名以上の団体券、身体障がい者の料金
主催
株式会社青森テレビ/株式会社東奥日報社
共催
青森県立美術館
企画制作
RKB毎日放送
企画協力
株式会社 アケト
出品協力
岡山市立オリエント美術館、国士舘大学イラク古代文化研究所、
古代オリエント博物館、十日町市博物館、遠山記念館、
尖石縄文考古館、BIZEN中南米美術館、平山郁夫シルクロード美術館、
早稲田大学會津八一記念博物館、早稲田大学エジプト学研究所
協 力
女子美術大学、大日本印刷株式会社、NECディスプレイソリューションズ株式会社、株式会社熊谷組、日本通運
お問い合わせ
株式会社青森テレビ メディア事業部
TEL:017-741-1588
ホームページ
http://www.atv.jp/kodaibunmeiten/
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