北斎展 葛飾北斎生誕250周年記念 [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
ホノルル美術館収蔵
北斎展 葛飾北斎生誕250周年記念
「冨嶽三十六景 山下白雨」[後期] 天保2年前後 横大判錦絵 HAA:15928 1970年ジェームス・A・ミッチェナー氏寄贈 撮影:ティム・シーゲルト Honolulu Academy of Arts
「游亀」[後期] 天保5年頃 長大判錦絵 HAA:21893 1991年ジェームス・A・ミッチェナー氏寄贈
撮影:ティム・シーゲルト Honolulu Academy of Arts
ホノルル美術館収蔵の葛飾北斎展が京都文化博物館で開催中である。
アジア美術の収蔵で世界的に知られるホノルル美術館には、約10,000点もの浮世絵版画が収蔵されており、その質の高さには定評がある。
筆者もハワイ滞在時には、何度も足を運んだことがあるが、南の島にこれだけ豊富でクオリティの高い日本美術作品が蒐集されていることに驚いたものだ。
コレクションの中核をなすのは、あまりにも有名なミュージカル『南太平洋』の原作者、ジェームス・A・ミッチェナー氏の寄贈による約5,400点の浮世絵作品である。
そのコレクションは、日本においても歌川広重の名品を中心とした里帰り展が幾度か開催されている。
だが、ホノルル美術館収蔵品には、もう一人の天才浮世絵師、葛飾北斎(1760~1849)の世界有数のコレクションがあることはあまり知られていない。2010年は北斎生誕250年にあたり、その記念事業の一環として、ホノルル美術館所蔵の優品170点を網羅した「北斎展」である。
「諸国瀧廻り 相州大山ろうべんの瀧」[後期] 天保3-4年頃 堅大判錦絵 HAA:13851 1957年ジェームス・A・ミッチェナー氏寄贈 撮影:ティム・シーゲルト Honolulu Academy of Arts
2011年ベルリンのマルティン・グロピウス・バウで北斎の回顧展開催され、筆者も参加して来たが、ドイツ大統領もオープニングセレモニーに出席するなどドイツでの北斎の評価は高い。また、メディアもドイツのテレビ局や雑誌など日本のメディアの数より多く、注目が集まっていた。
アメリカの「ライフ」誌が2000年に公募した「美術史において最も偉大な業績をあげた芸術家」の中で、北斎は日本人として唯一に選ばれた。
そんな世界的にも影響を与えた北斎の生誕250周年記念展覧会であること、また、そのコレクションがミッチェナー蒐集によるホノルル美術館収蔵であることの2つの点において、この展覧会の意義は大きい。
本展は、二章で構成されている。
第1章では、デビュー当時の「春朗」時代の作品から最晩年の「地方測量之図」までを年代別に展観して北斎の画業を概観。
「地方測量之図」 [後期] 嘉永1年 横大々判錦絵 HAA:19479 1985年ジェームス・A・ミッチェナー氏寄贈 撮影:ティム・シーゲルト Honolulu Academy of Arts
第2章では、北斎の代表作「冨嶽三十六景(44図)」をはじめ、「諸国名橋奇覧(全11図)」、「諸国瀧廻り(全8図)」、「琉球八景(全8図)」、「詩哥写真鏡(全10図)」、「百人一首姥か絵説(全27図)」といった6種の揃物を展示。
「諸国名橋奇覧 三河の八ツ橋の古図」 [後期] 天保4-5年頃 横大判錦絵 HAA:15935 1970年ジェームス・A・ミッチェナー氏寄贈 撮影:ティム・シーゲルト Honolulu Academy of Arts
また、初公開2点を含む肉筆画3点も併せて展観される。
ミッチェナーの審査眼で選び、ホノルルで育まれた北斎芸術をぜひ体感してみよう。
会 期
2012年2月1日(水)-3月25日(日)
前期:2月1日(水)-2月26日(日)
後期:2月28日(火)-3月25日(日)
月曜日休館
※前期・後期で作品は全て入れ替わります。
開室時間
10時-18時 *毎週金曜日は19時30分まで夜間開室しています。
(入室はそれぞれ30分前まで)
主催
京都府、京都文化博物館、産経新聞社、京都新聞社
協力
ホノルル美術館
後援
アメリカ大使館、京都市、京都府教育委員会、京都市教育委員会、京都商工会議所、京都府観光連盟、京都市観光協会、歴史街道推進協議会、NHK京都放送局、KBS京都、エフエム京都
企画協力
アートシステム
協賛
日本航空
入場料 ※総合展示も入場可
|
当日 |
団体(20名以上) |
一般 |
1000円 |
800円 |
大高生 |
700円 |
560円 |
中小生 |
400円 |
320円 |
※この展覧会に出品される浮世絵版画の修復は、The Robert F. Lange Foundationの援助により行われた。
主な作品
「富士見西行図」
天明4-5年頃 柱絵判錦絵 [*初公開]
「新板浮絵 樊鴻門之会ノ図」
寛政2年頃 横大判錦絵
「千絵の海 五島鯨突」
天保初年頃 横中判錦絵
「牡丹に蝶」
天保初-中期頃 横大判錦絵
「雪松に鶴」
天保5年頃 長大判錦絵
「游亀」
天保5年頃 長大判錦絵
「鷹」
天保中期頃 団扇絵・錦絵
「勝景奇覧 信列陬防湖」
天保中期頃 団扇絵・錦絵
「地方測量之図」
嘉永1年 横大々判錦絵 [*初公開]
「渡舟図」
天保年代初頭頃 絹本着色 軸装 [*初公開]
「冨嶽三十六景 凱風快晴」
天保2年前後 横大判錦絵
「冨嶽三十六景 山下白雨」
天保2年前後 横大判錦絵
「諸国瀧廻り 相州大山ろうべんの瀧」
天保3-4年頃 竪大判錦絵
「諸国名橋奇覧 三河の八ッ橋の古図」
天保4-5年頃 横大判錦絵
「琉球八景 長虹秋霽」
天保3年頃 横大判錦絵
「百人一首乳母か繪と起 参議篁」
天保6-7年頃 横大判錦絵
「百人一首宇波か縁説 藤原道信朝臣」
天保6-7年頃 横大判錦絵
なお、4月14日から三井記念美術館に巡回する。
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