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大阪市立近代美術館展覧会―佐伯祐三とパリ ―ポスターのある街角― Yuzo Saeki and Posters in Paris around 1920s [美術館  ARTNEWS アートニューズ]

大阪市立近代美術館展覧会

―佐伯祐三とパリ ―ポスターのある街角―

 Yuzo Saeki and Posters in Paris around 1920s

会場: 大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室

 

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佐伯祐三「レ・ジュ・ド・ノエル」1925年 大阪市立近代美術館建設準備室蔵

 

 

大阪生まれの近代日本を代表する洋画家・佐伯祐三の展覧会「佐伯祐三とパリ ―ポスターのある街角―」が、大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室において、428()から716(月・祝)まで、好評開催中である。

 

 

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佐伯祐三「レストラン(オテル・デュ・マルシェ)」1927年 大阪市立近代美術館建設準備室蔵

 

 

2008年に「没後80年記念 佐伯祐三展 -パリで夭逝した天才画家の道-」が大阪市立美術館で開かれたため、もう見たからと思うかたも多いだろう。

今、開催中の展覧会は、教科書に載っている《郵便配達夫》など有名な作品は、網羅されているが、全く違う展覧会だ。

筆者は、両方の展覧会を鑑賞したが、大阪市立美術館版とは構成が違い、タイトルどおり、パリに的を絞った絵画を集めて展示しており、パリにいるかのような錯覚に陥る。

コンパクトながら、質の高い作品群には、驚きだ。

 

 

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佐伯祐三「広告(アン・ジュノ)」1927年 大阪市立近代美術館建設準備室蔵

 

 

 大阪が誇る洋画家・佐伯祐三(1898-1928)は、第一次世界大戦後の1924年、世界のアーティストの誰もが憧れた芸術の都・パリに渡り、わずか30年の生涯をフランスの地で終えた。

 

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              佐伯祐三 (1898-1928

 

 

芸術家として“純粋”であることを追い求め、焦燥のうちに描かれた作品は、今もなお、多くの人に感動を与えている。

佐伯の風景画にはモチーフとして文字が多く書かれており、街角のポスター、看板等の文字を造形要素の一部として取り入れている点が特異である。

 

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佐伯祐三「街角の広告」1927年 大阪市立近代美術館建設準備室蔵

 

 佐伯はパリ郊外のオーヴェール・シュル・オワーズ(ゴッホ終焉の地で家や墓があることで有名)に、フォーヴィスムの画家モーリス・ド・ヴラマンクを訪ねた。

佐伯は持参した自作『裸婦』を見せたところ、ヴラマンクに「このアカデミックめ!」と一蹴され、強いショックを受けた。

事実、この頃から佐伯の画風は変化し始める。

この第一次滞仏時の作品の多くはパリの街頭風景を描いたもので、ヴラマンクとともにユトリロの影響が明らかである。

手荒いショック療法だったのかもしれないが、ヴラマンクに会えたことは、佐伯にはプラスに働いたことは間違いないといえるであろう。

 

 

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佐伯祐三「黄色いレストラン」1928年 大阪市立近代美術館建設準備室蔵

 

 

佐伯祐三の没後、大阪の実業家・山本發次郎は、いち早く佐伯の絵の真価を見出して蒐集し、代表作の多くが大阪市に寄贈された。

 

この展覧会では、日本最大かつ最高水準の佐伯祐三コレクションに加えて、パリで交流のあった日本人画家、里見勝蔵や荻須高徳などの作品も展示される。

また、プライベートな家族写真や、友人との写真なども展示されており、佐伯祐三のプロフィールを垣間見ることができる。

 

構成は、以下の第4章より成る。

1章 大阪から東京、パリへ

2章 再びパリへ

3章 佐伯をめぐる画家たち

4章 パリ、街角のポスター

 

 

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佐伯祐三「人形」1925年頃 大阪市立近代美術館建設準備室蔵

 

 

 

 世界有数の質を誇るサントリーポスターコレクション18,000点余が、今年、大阪市立近代美術館建設準備室に寄託される。

そこで、これを機会に、佐伯祐三の絵画とともに、彼が生きた1920年代前後に、実際にパリの街角を飾ったポスター作品を選りすぐって展示。

藤田嗣治、ジャン・コクトー、ユトリロの母として名高いシュザンヌ・ヴァラドン、マリー・ローランサンなど誰もが知っている作家が目白押し。

 

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シュザンヌ・ヴァラドン 「芸術家友好援助会(AAAA)舞踏会」1927年 サントリーポスターコレクション

 

 

主な出品作品並びに開催概要は下記のとおり。

◇ 出品作家 : 佐伯祐三、大橋了介、荻須高徳、里見勝蔵、佐野繁次郎、横手貞美

シュザンヌ・ヴァラドン、キース・ヴァン・ドンゲン、A.M.カッサンドル、レオネット・カッピエロ、ジャン・カルリュ、シャルル・キフェール、ジャン・コクトー、ポール・コラン、里見宗次、シャルル・ジェスマール、ジャン・デュパ、モーリス・デュフレーヌ、藤田嗣治、ロジェ・ブロデール、ロベール・ボンフィス、マックス・ポンティ、シャルル・ルーポ、アンドレ・ロート、マリー・ローランサン

 

 

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レオネット・カッピエロ「ラジオラSFER-201925年 サントリーポスターコレクション

 

 

この展覧会の図録は、少し小ぶりの横長サイズ。

《郵便配達夫》を表紙にしており、パリの新聞紙や地図をモチーフにしたデザインは、パリの香りが漂う。

佐伯の滞在地やホテル、さらに佐伯の作品が描かれた場所の地図が書かれており、大変興味深い。

今度パリに行くときに、この図録を小脇に抱え、佐伯の足取りをたどってみたくなった。

 

 

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佐伯祐三「郵便配達夫」1928年 大阪市立近代美術館建設準備室蔵

 

これだけ多くの佐伯祐三の作品を所蔵していることは、大阪市民として誇るべきことだと強く思う。

これらを維持して行くことは、市民としても、世界的レベルの芸術を守るという意味において、我々市民が行なう使命なのではないだろうか。

 

会期終了まであとわずか。

巡回予定はないため、このチャンスをお見逃しなく。

 

◇ 展覧会名 : 大阪市立近代美術館展覧会「佐伯祐三とパリ ―ポスターのある街角―」

◇ 会期 : 2012428() 716(月・祝) 69日間

 ※毎週水曜日休館

 

【前期】 428日(土)~612日(火)

【後期】 614日(木)~716日(月・祝)

 

◇ 開館時間 : 午前11 時~午後7 時 (入館は午後6 30 分まで)

◇ 会場 : 大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室

大阪市中央区南船場3 丁目4 26 号 出光ナガホリビル13階(旧・出光美術館大阪)

最寄り駅: 地下鉄御堂筋線・長堀鶴見緑地線「心斎橋」

または地下鉄堺筋線・長堀鶴見緑地線「長堀橋」下車

地下街「クリスタ長堀」北7番または北5番出口すぐ

◇ 主催 : 大阪市立近代美術館建設準備室、読売新聞社

◇ 協 賛 : 岩谷産業、大和ハウス工業、非破壊検査、損保ジャパン

◇ 観覧料 : 当日券/一般500 円(400 円)/高校・大学生300 円(200 円)/

         中学生以下無料

  ※( )内は20 名以上の団体料金

  ※大阪市内在住65歳以上の方(要証明)および障害者手帳等をお持ちの方

    (介護者1名を含む)は、無料。

◇ 出品点数 : 25作家、約85点(会期中に展示替えあり/前期・後期とも約65点展示)

そのうち佐伯作品は 49 点(展示替えあり/前期・後期とも約40 点展示)

 

◇関連イベント (要事前申し込み/応募者多数の場合は抽選)

 

 

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シャルル・ジェスマール「ミスタンゲット」1926年 サントリーポスターコレクション

 

 

◇ミュージアムトーク・ミニトーク

◆ミュージアムトーク: 会期中の毎週月曜日 午後2時、土曜日 午後4時より30-40分程度、学芸員 が会場にて案内。

じっくりと鑑賞したい方におすすめ。

 

◆ミニトーク: 会期中の毎週火曜日・木曜日 午後615分より15分程度、展覧会のみどころや選りすぐりの作品など学芸員がポイントを絞って案内。

 

※いずれも当日会場入口に集合/参加無料、ただし観覧料が必要

◇ お問合せ: Tel. 06-4301-7285 Fax.06-6644-4894

(大阪市総合コールセンター/午前8 時~午後10 時 無休)

 

URL : http://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu120/artrip/

 

 


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