マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵 巨匠たちの英国水彩画展 ～ターナーからブレイク、ミレイまで～

マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵　

巨匠たちの英国水彩画展

～ターナーからブレイク、ミレイまで～

 

　英国水彩画の世界屈指のコレクションを持つことで知られるマンチェスター大学ウィットワース美術館。

その3000点を超える水彩画コレクションの中から、約160点の名品を選りすぐった展覧会が、新潟県立万代島美術館で開催中である。

新潟県立万代島美術館は、長岡市にある新潟県立近代美術館の分館として2003年7月オープンした。

信濃川の河口をのぞむ新潟市万代島地区の複合施設「朱鷺メッセ」内にある、都市型の美術館だ。

オープン以来、興味深い展覧会を開催しており、筆者は注目していたが、紹介できずにいた。

一度訪れたいと思っていた美術館だ。

岡崎市美術博物館（マインドスケープ・ミュージアム）や東京のBunkamuraザ・ミュージアムで好評だったこの「巨匠たちの英国水彩画展」が開催されているので、記事を書く機会を得た。 

 何といっても、見どころは水彩画を芸術表現の高い領域におしすすめたJ.M.W.・ターナー。

 

J.M.W.ターナー

《旧ウェルシュ橋、シュロップシャー州シュルーズベリー》1794年　

マンチェスター大学ウィットワース美術館蔵

 

また、詩人画家のウィリアム・ブレイクとその影響から古代への美を追求したサミュエル・パーマーと続く。

 

 

ウィリアム・ブレイク

《『ヨーロッパ』図版1、口絵、「日の老いたる者 」》1827年？

マンチェスター大学ウィットワース美術館蔵

 

その後結成されるラファエル前派のロセッティやエヴァレット・ミレイ、バーン＝ジョーンズまで、日本でも人気の高い英国美術を代表する画家の名品が一堂に展示。

 日本ではこれまで、英国水彩画の全容を紹介する機会はほとんどなかった。

しかし、この展覧会はその展示点数のみならず大作も出品される見ごたえのあるもの。

英国水彩画の魅力を余すことなく紹介する決定版と言える。

水彩画は、油絵に比べ派手さには及ばないが、珠玉の作品を集めたこの展覧会では、水彩画の持つ静謐さや、透明感を深く感じることができる。

デリケートな水彩画は、保存管理が難しくなかなか国外に持ち出すことは不可能に近い。

マンチェスター大学ウィットワース美術館が今年から2014年にかけて施設拡張のため、作品の一時避難を兼ねてこの展覧会は開かれる。

日本なら、きちんと保管してくれるという信用の下で開催できるこの展覧会は貴重なものだ。

逆に言えば、施設拡張が行われなければ、日本には来ることはないであろう作品の数々である。

ウィリアム・ターナーの作品が30点も展示されているのは、大変見ごたえがある。

 

J.M.W.ターナー　

《ルツェルン湖の月明かり、彼方にリギ山を望む》1841年

マンチェスター大学ウィットワース美術館蔵

 

ロンドンオリンピックの2012年、これらの作品が数ある世界の国の中で日本にやって来ていたのだ。

貸し出しを許可してくれたウィットワース美術館や、この展覧会を企画した人々に感謝したい。

美術史上、水彩画の美しさを再発見できる展覧会である。

図録もその展示数の多さを物語る重厚な出来栄えで、作品解説がわかりやすく述べられており、絵画の鑑賞の仕方を教えてくれる。

手に取って眺めていると、心が洗われるような気がする。

蔵書にしたい一冊だ。

会期終了まで、あとわずか。お見逃しなく。

 

チャールズ・ウェスト・コープ

《黒板をもつ少女》マンチェスター大学ウィットワース美術館蔵

 

 

 

会期

2012年12月18日(火) ～ 2013年03月10日(日)

 

開催時間

午前10時～午後6時（観覧券の販売は閉館30分前までです。）

 

休館日

3月4日（月）

 

 

観覧料

一般 1,100円（900円）、大・高校生 900円（700円）

 ＊小・中学生の観覧料は無料。

 ＊（ ）内は有料20名以上の団体料金。

 ＊ 障がい者手帳・療育手帳をお持ちの方の入場は無料。受付でご提示のこと。

 

会場

新潟県立万代島美術館

 

主催

潟県立万代島美術館／マンチェスター大学ウィットワース美術館／朝日新聞社／UX新潟テレビ21／新潟日報社

 

後援

ブリティッシュ・カウンシル／ラスキン文庫／新潟市／新潟市教育委員会／NCV新潟センター／エフエムラジオ新潟／ＦＭ ＰＯＲＴ 79.0／FM  KENTO／ラジオチャット・エフエム新津／エフエム角田山ぽかぽかラジオ／エフエムしばた／燕三条エフエム放送株式会社

 

協賛

竹中工務店

 

協力

あいおいニッセイ同和損保／日本航空

 

☆作品解説会　　

会期中の日、祝日(他にイベントのある日を除く）14:00～

会場：当館展示室(当日の観覧券が必要・申込み不要)

 

　　　　　　

 

☆読者プレゼント　

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