特別展 ギヤマン展― あこがれの輸入ガラスと日本 [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
特別展 ギヤマン展―
あこがれの輸入ガラスと日本
ビイドロとギヤマンの違いをご存じだろうか。
どちらもガラスを指すので同じと思っているかたも多いのではないだろうか。
そんな疑問を解き明かすような素晴らしい展覧会が、神戸市立博物館で開催中だ。
江戸時代後期、日本製の一般的なガラスはビイドロと呼ばれていた。
びいどろと平仮名で書くことも多いのはそのせいだ。
一方、ヨーロッパから輸入された上質のガラス器は、ビイドロと区別して、ギヤマンと呼ばれていた。
ギヤマンという言葉は、ポルトガル語のダイアモンドを意味するディアマンティ(Diamante)に由来している。
ダイアモンドのような透明さを持ち、器面にカットがほどこされるなど華麗なきらめきを放つ輸入ガラス器は、日本人を魅了し、この上ない宝物として珍重されたのだ。
ダイアモンドは、日本語で金剛石(こんごうせき)と呼ぶ。
実際、この展覧会で展示されているギヤマンの箱書きに「金剛石」と記されている。
多くのギヤマンが手厚く収納されていたことからいかに大切にされて来たかがよくわかる。
呼び方については、変遷がある。
16~17世紀に舶載されたころは、ガラスはビイドロと総称されていた。(ポルトガル語)それが、日本でガラスが製作され、一般化する18世紀後期~19世紀には硝子と書いて「びいどろ」と読まれた。
びいどろは和製の吹きガラスを指す。
ギヤマンが輸入品。
和製ギヤマンが鉄分の青みを消した上質のガラスを指す。
このように大きく分けて3種類のガラスが存在した。
硝子が、ガラスと呼ばれるようになるのは明治中期になってからなのだ。
また、明治時代には、玻璃と書いて、びいどろと読まれることもあった。
和製ギヤマンの中には、展示品を入れて現在2点しか知られていない貴重な薩摩切子や、大阪の茶道具商、春海(はるみ)藤次郎が、大正時代にフランスのバカラ社に注文製作したギヤマンの懐石具一式など大変貴重な作品が展示されている。
華麗なきらめきに満ちた西洋のガラス器を見た日本の職人が、徐々に日本人の手によって、より完成度の高い作品を作り出して行くその過程もわかりやすく展示されている。
お見逃しなく。
☆展覧会の構成
この展覧会は、つぎの6章から構成されている。
•Ⅰ 輸入ギヤマンの黎明 桃山~江戸前期の輸入ガラス 17~18世紀中期
•Ⅱ 輸入ギヤマンの華 18世紀後半から19世紀の輸入ガラス
•Ⅲ 日本のびいどろへの影響
•Ⅳ 和製ギヤマンの誕生
•Ⅴ 文献資料
•Ⅵ 近代のギヤマン
会場:神戸市立博物館
会期:
2014年7月5日(土曜日)~9月15日(月曜日・祝日) 63日間
開館時間:
9時30分から17時30分まで(入館は17時まで)
※土曜日は19時まで開館(入館は18時30分まで)
休館日:
月曜日
主 催:神戸市立博物館、神戸新聞社、サンテレビジョン
後 援:NHK神戸放送局
協 賛:一般財団法人みなと銀行文化振興財団
★入館料(常設展も合わせて鑑賞可。)
当日券 団体券(20名以上)
一 般 1,000円 850円
高校・大学生
700円 600円
小・中学生 400円 300円
※2:65歳以上で「神戸市すこやかカード(老人福祉手帳)」持参の方は当日一般料金が半額。
※3:障がいのある方は身体障がい者手帳・療育手帳などの提示で無料。
※4:神戸市および隣接6市1町、淡路3市、鳴門市、徳島市の小中学生は、
「のびのびパスポート」の提示により無料。
★ゆかた割:会期中、ゆかたでご来館のお客様は団体料金で鑑賞可。
☆ホームページ
☆同時開催
○古地図企画展 図の世界―館蔵品一挙大公開―
平成26年(2014)8月23日(土曜日)~9月15日(月曜日・祝日)
江戸時代に日本地図を作った伊能忠敬。館蔵の古地図コレクションから伊能図を一挙公開。
伊能は、自分自身が測量したところとそうでないところは明確に分けて地図に示している。また、当時の測量日誌をきちんと残していることがこの展覧会の展示でよくわかる。
研究者によるねつ造疑惑などアカデミックなモラルが問われる昨今。
伊能の仕事の進め方や実直な人柄を感じ取れる絶好の機会だ。
○ギャラリー 上川庄二郎
鉄道錦絵コレクション名品選
平成26年(2014年8月19日(火曜日)~10月5日(日曜日)
大阪~神戸間鉄道開業140年、寄贈20年を記念して、上川庄二郎氏収集による鉄道錦絵コレクションの中から35点を展示。
☆読者プレゼント
10組20名様にご招待券 プレゼント
あて先 : loewy@jg8.so-net.ne.jp に
件名:展覧会名と会場名
本文:ご住所、お名前
をお書きの上どしどしご応募下さい。
締切:UPした日の午前零時
発送をもって当選と代えさせていただきます。
☆【巡回予定】奥田元宋・小由女美術館(広島県三次市)
平成26年(2014)9月25日(木曜日)~11月24日(月曜日・祝日)
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