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マグリット展 René Magritte [美術館  ARTNEWS アートニューズ]


マグリット展


Rene Magritte



空の鳥s.jpg

《空の鳥》

1966年 油彩/カンヴァス 68.5×48cm ヒラリー&ウィルバー・ロス蔵

Hilary & Wilbur Ross[コピーライト]Charly Herscovici / ADAGP, Paris, 2015

[コピーライト]Phototheque R. Magritte / BI, ADAGP, Paris / DNPartcom, 2015


 京都市美術館で実に44年ぶりの本格的なルネ・マグリット(Rene Magritte 1898年‐1967年)の回顧展が大好評開催中だ。日本国内では、2002年以来、13年ぶりの開催だ。

内容は、もちろん全く違う新しい展覧会である。

9月10日には、入場者が10万人を突破し、その後も入場者を増やし続けている。

マグリット展の東京展での好評ぶりは、弊社アシスタントから聞いて知っていたので、京都に巡回して来るのを心待ちにしていた。



ゴルコンダ小.jpg

《ゴルコンダ》1953年 油彩/カンヴァス 80×100.3cm メニル・コレクション

The Menil Collection, HoustonPhoto:[コピーライト] Rick Gardner, Houston

[コピーライト]Charly Herscovici / ADAGP, Paris, 2015


 ルネ・マグリットは、ベルギーの国民的画家で我々の思想や行動を規定する”枠”を飛び超えた独特の芸術世界を展開した20世紀美術を代表する芸術家である。

言葉やイメージ、時間や重力などの要素が何の説明もなく取り払われており、大変理にかなわない作品で、現実にありえないのだが一度見たら忘れられない魅力がある。

また、その絵の中に紛れ込んだような錯覚を覚えさせる画家だ。



赤いモデルs.jpg

《赤いモデル》

1953年 油彩/カンヴァス 38×46cm BNPパリバ・フォルティス・コレクション

Collection BNP Paribas Fortis[コピーライト]Charly Herscovici / ADAGP, Paris, 2015

[コピーライト]Phototheque R. Magritte / BI, ADAGP, Paris / DNPartcom, 2015



 この展覧会ではベルギー王立美術館とマグリット財団の協力を得て、代表作約130点を展示している。


2009年に、「マグリット美術館」(Musee Magritte)がベルギーの首都ブリュッセルにオープンし、それは、マグリット研究の拠点ともいえ、さらに近年、マグリットの研究が進み、評価も高くなって来ているのだ。


筆者が、ブリュッセルに滞在した数年前には、工事中で建設予定だという情報を得ていたが、完成してからは訪れていないので、興味津々だ。ベルギー王立美術館(Musees royaux des beaux-arts de Belgique)の隣に位置している。

これは、1803年設立の200年以上の歴史を誇る美術館だ。15世紀から18世紀までの作品を収めた古典美術館 (Musee d'Art ancien) 1920世紀の作品を収めた近代美術館 (Musee d'Art Moderne)から成るが、同じ建物の中にあり、近代美術館は地下にある。

ピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel de Oude)親子、ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン(Rogier van der Weyden)など2万点以上の所蔵作品を誇る。

筆者は、ブリュッセルに約3週間滞在したことがあるが、毎日毎日通うので、受付のかたや警備のかたに「また、来たね。よい生徒だ。」と言われていた。この美術館のすばらしいところは、警備のかたも長年勤めるプロフェッショナルで、美術館のことは何でも知っているかたが多く、「いつもの展示場所とはこの時期だけ違う。ピーテル・ブリューゲルの孫の作品を見るのを忘れないで。画家の兄弟などの家族の展覧会を他の美術館で開催しているから、鑑賞することをお勧めする。」と丁寧に話しかけてくれた。



日本の美術館によっては、警備のかたは、来場者と話してはならないというところがあり、学芸員のかたをいちいち呼び出すほどでもないというような単純な質問を聞けなかったりして残念な思いをした経験がある。

この段違いな対応ぶりに美食の町だけではない、ベルギーの文化の奥深さを感じたものだ。その時に初めてじっくり鑑賞したのが、マグリットだ。

そんな素晴らしいベルギー王立美術館のミシェル・ドラゲ館長(Michel Draguet  General Director)がこの展覧会の総合監修者なので頼もしい。

☆ホームページ

「マグリット美術館」(Musee Magritte

http://www.musee-magritte-museum.be



 ベルギー王立美術館(Museesroyaux  des beaux-arts de Belgique

 http://www.fine-arts-museum.be



白紙委任状s.jpg

《白紙委任状》

1965年 油彩/カンヴァス 81.3×65.1cm ワシントン・ナショナル・ギャラリー

National Gallery of Art, Washington, Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon, 1985.64.24

[コピーライト]Charly Herscovici / ADAGP, Paris, 2015

 この展覧会のために集められたマグリット作品は約130作品だが、世界各地の美術館・コレクションから選りすぐりのものだ。

しかも、その多くが個人コレクションのため、たとえベルギーに行ったとしも普段はお目にかかれないのだ。

ここが、この展覧会のポイントだ。



初期から晩年まで、マグリットの思想や創造の過程をたどり、マグリット芸術の変遷と魅力をたっぷりと紹介している。



上流社会s.jpg

《上流社会》

1965-66年 油彩/カンヴァス 81×65㎝ テレフォニカ財団

ColeccionTelefonica[コピーライト] Charly Herscovici / ADAGP, Paris, 2015

[コピーライト]Phototheque R. Magritte / BI, ADAGP, Paris / DNPartcom, 2015


☆構成

1章:初期作品 / Early Works1920?1926

2章:シュルレアリスム / Surrealism1926?1930

3章:最初の達成 / The First Accomplishment1930?1939

4章:戦時と戦後 / War and Post-War1939?1950

5章:回帰 / The Return1950?1967




  潮江宏三・京都市美術館長は、弊社の単独インタビューに対し、以下のように語ってくれた。  

実際は、柔らかい口調でお話下さったのだが、原稿と文体を一致させるため、以下のように記している。

「マグリットの絵には、ベルギー独特の風景が絵の中に入り込んでいる。マグリットは大変不思議な絵を描くが、一方で帽子にフロックコートを着込んだ良識ある市民だった。その不思議な絵にも妻しか出て来ず、他の女の人は描いていない。芸術と生活の中にギャップがあったに違いない。芸術家気取りではなく、善良な市民として落ち着いた生活を送っていた。

しかし、第二次大戦中、ベルギーはドイツに占領されていたため、表立って激しい絵は描いていないが、戦争に対する怒りを表現した絵を描いている。

この展覧会の来場者は若いかたが多い。これは、若い人たちの絵がストーリー性のある具象に向かっているにほかならない。また、自分と現代社会との関わりあいを自虐的に見つめ、メッセージ性を持った絵画を目指している人が多いのではないか。この展覧会が、若い人たちのいい刺激になっているのだと思う。この展覧会は時代の要請に合致しているのだろう。

この展覧会で展示されている個人コレクションの作品は、ベルギー王立美術館のミシェル・ドラゲ館長のルートで集められ、主にヨーロッパとアメリカのコレクターのものだ。」



 アートニューズの読者のためだけのスペシャルコメントとして、

「絵を鑑賞するだけではなくて、頭の体操ができる展覧会だ。答えがあるわけではない。発想の柔軟さを鍛えるにはもってこいの展覧会だ。これからインターネットも含めて視覚メッセージをどう伝えるかが重要になって行くので着想を見つける上でよい展覧会だ。」

 絵画や芸術に興味がある人だけでなく、ものごとを多面的にいろいろな方向からとらえることがますますビジネスにも必要になって来るであろう。

この展覧会を鑑賞してマグリット芸術の謎の魅力を堪能し、生き方や仕事、人間関係に活かすようにしよう。


図録は、ミシェル・ドラゲ館長のしっかりとした「論文」ともいえる中身の濃いすばらしい内容。

この展覧会が、現代美術の方向性を変えることは間違いないだろう。

お見逃しなく。

本展は、政府による美術品補償制度適用。

会期

2015711()1012(月・祝)

休館日

 毎週月曜日

開館時間

9001700

 ※入館は閉館の30分前まで。

会場

 京都市美術館(岡崎公園内)

http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/

 主催

 京都市美術館(京都市)、ベルギー王立美術館、読売新聞社、MBS

 共催

 WOWOW、ぴあ

後援

 ベルギー大使館


 特別協賛

 Canon

協賛

損保ジャパン日本興亜、大日本印刷、トヨタ自動車、岩谷産業、非破壊検査

協力

 エールフランス航空、日本貨物航空、日本航空

お問合せ

050-5542-8600(ハローダイヤル)

 観覧料(税込)



??????????????????? 当日 団体(20名以上)


一般

1,600円 1,400

 高校・大学生

 1,100円   900

小・中学生

 600円      400



?????????????????? ※障がい者手帳等をご提示の方は無料


※小・中学生は日曜、祝休日無料


※ルーヴル美術館展の観覧券(半券可)提示で、当日料金から200円引きで入場可。



 

 ☆読者プレゼント 


   510名様にご招待券 プレゼント


   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

   件名:展覧会名と会場名


   本文:ご住所、お名前


   をお書きの上どしどしご応募下さい。

 締切:UPした日の午前零時


  発送をもって当選と代えさせていただきます。 

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