琳派展ⅩⅣ生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌 [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
琳派展ⅩⅣ生誕250年記念展
酒井抱一と江戸琳派の全貌
酒井抱一「夏秋草図屏風」 重要文化財 東京国立博物館
Image:TNM Image Archives Source:http://TnmArchives.jp/
5月2日~13日
将軍家の信任厚き譜代大名家の御曹司にして、江戸後期を代表する絵師の一人・酒井抱一(ほういつ)。
その稀有な才人の生誕250年という記念の年を迎えて、大規模な回顧展が細見美術館で開催されている。
名門譜代大名家の次男として江戸に生まれた抱一(忠因)。
文芸を重んじる酒井家の家風は忠以、忠因の兄弟を文雅の道に通じた風流人に仕立てる。
宗雅(そうが)の号を持つ忠以は茶人、俳人として活躍し、抱一も兄の影響を受けながら狂歌や浮世絵などに親しみ、作品を残している。
忠以没後に37歳で出家した抱一は、その頃から尾形光琳らが京都で築いた琳派の作風に心酔する。
光琳の作品に強い感化を受けながら、より洗練された繊細で優美な世界を追求した抱一は、「江戸琳派」と呼ばれる新様式を確立するまでになる。
酒井抱一「八橋図屏風」 出光美術館
4月10日~22日
四季の自然を軽やかに、しかも的確にとらえた花鳥画は風趣に富み、代表作「夏秋草図屏風」の類いまれな描写力から生み出された抒情的世界は見る者の心をつかんで離さない。
酒井抱一「秋草鶉図屏風」重要美術品 山種美術館
4月10日~30日
後半生を画家として過ごした抱一。
その画風は宗達、光琳ら、伝統的な京都の琳派に強く憧れながら、江戸後期らしい新たな好みや洗練を加えており、近年では抱一の確立した新様式を「江戸琳派」と称している。
この展覧会では、浮世絵に始まる抱一の琳派傾倒以前の初期作から、最も得意とした華麗で写実的な花鳥図の数々、出家後に手掛けた仏画の優品など、抱一の多岐にわたる作品を展示。
酒井抱一「月に秋草図」MOA美術館
全期展示
酒井抱一「四季花鳥図巻」(部分)東京国立博物館
Image:TNM Image Archives Source:http://TnmArchives.jp/
5月2日~13日
また抱一の有力な弟子、鈴木其一は、姫路藩士として抱一に仕えたが、斬新な構成と卓越した筆致によるモダンな趣が魅力の作家。
鈴木其一「道成寺図凧」 個人蔵
4月10日~30日
酒井抱一「青面金剛図」 細見美術館
5月2日~13日
鈴木其一「夏秋渓流図屏風」(左隻)根津美術館
5月2日~13日
池田孤邨を始め、百年以上にわたる江戸琳派の活躍の軌跡も辿る。
総点数 約130点。
池田孤邨「百合図屏風」遠山記念美術館
4月10日~30日
※本展は3期に分かれて展示。そのため、各期の出品作品が大きく異なるため、注意。
酒井抱一「白蓮図」細見美術館
4月10日~22日
今までの展覧会では、絵師としても抱一が注目された構成であったが、今回の展覧会では、元祖デザイナーズブランドの確立者としての抱一の取り上げ方が斬新で、時代を先取りしていた抱一の一面を探ることができる。
酒井抱一 下絵・原羊遊斎 銘
「蔓梅擬目白蒔絵軸盆」東京都江戸博物館
全期展示
酒井抱一 下絵・原羊遊斎 銘
「瓢箪蒔絵盃台」個人蔵
全期展示
酒井抱一 「十二ケ月花卉図豆画帖」(部分)個人蔵
全期展示
また、遊女を見受けした抱一。抱一が絵を描き、新妻が書をしたためる。二人で力を合わせていけば、乗り越えていける、そんな二人の合作の掛け軸が、展示してあったことも抱一の人間性に触れられる大変いい機会である。
酒井抱一「遊女と禿図」出光美術館
4月10日~22日
抱一をまとめた本が今まであまりなかったが、今回の展覧会の図録は、細見美術館の上席研究員・岡野智子氏らが渾身の力を込めた力作。
よくまとまった図録であり、手元に置いておきたい一冊である。
この展覧会では3期に分かれて展示されるため、見逃した出品作品はぜひ図録で見ていただきたい。
待ちに待った注目作品「夏秋草図屏風」は、ただ今展示中。
即行かれることを強くお勧めする。
ぜひ、お見逃しなく!
2012年4月10日(火)~5月13日(日)
前期:4月10日(火)~22日(日)
中期:4月24日(火)~30日(月)
後期:5月2日(水)~13日(日)
主催 細見美術館 京都新聞社 毎日新聞社
休館日 4月16日(月)・23日(月)・5月1日(火)
開館時間 10時~18時(入館は17時30分まで)
入館料 一般1000円(800円) 学生800円(600円)
※( )内は20名以上の団体料金
会場 細見美術館 京都市左京区岡崎最勝寺町6-3 TEL075-752-5555
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