「七類堂天谿展」 -奕々たるその神彩- [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
「七類堂天谿展」
-奕々たるその神彩-
睨む達磨、微笑む菩薩
印朱衣達磨図 有馬賴底賛
相国寺承天閣美術館ですばらしい展覧会が開かれている。
好評につき、当初の予定より会期を延長したくらいであるから、その賑わいぶりは尋常ではない。
相国寺と書いて、「しょうこくじ」と読む。この寺の中に、素敵な美術館があるのだ。
筆者は、2011年、日独交流150周年記念 ハンブルク浮世絵コレクション展について述べているが、その会場になった美術館だ。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-09-07
篩月布袋図 釋誠信賛
ゆったりと時間が流れる日本式の美術館で庭園が美しく、リラックスできる空間である。
相国寺は、若き日の雪舟が修業時代を過ごした寺である。
雪舟とは、「幼い日、絵ばかり好んで経を読もうとしないので、寺の僧は雪舟を仏堂の柱にしばりつけた。床に落ちた涙を足の親指につけ、床に鼠を描いたところ、僧はその見事さに感心し、雪舟が絵を描くことを許した。」という逸話を持つ水墨画家。
サントリー美術館・東京ミッドタウン5周年記念 「毛利家の至宝 大名文化の精粋 国宝・雪舟筆『山水長巻』特別公開」展の記事で上記を書いている。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-05-22
このエピソードの寺は宝福寺であるが、その後、雪舟は10歳頃京都の相国寺に移り、春林周藤に師事、禅の修行を積むとともに、天章周文に絵を学んだ。
このように、相国寺と絵画とは、深い結びつきがあるのである。したがって寺の中に美術館があることなど、何ら不思議なことではないのだ。
一華観音 河野太通賛
雪舟没後500年余り。雪舟が水墨画を学んだ中国で、雪舟の再来として認められ、雪舟と同じ「天童第一座」の称号を天童山景徳禅寺から与えられた日本人画家がいる。
広島県尾道市在住の道釈画家・七類堂天谿(50歳)だ。
道釈画とは仏教・道教・神道における祖師像で、達磨・七福神・天神像等がある。
七類堂天谿の筆先から生み出される達磨や七福神は、多くの人の心をひきつける。
破墨鍾馗図 有馬賴底賛
七類堂天谿の作品には、芸術に不可欠な個性が備わっている。
その空間構成や色づかいは、間違いなく道釈画に新しい可能性を吹き込んだ。
臨済宗相国寺派管長で相国寺承天閣美術館館長の有馬賴底は、七類堂天谿が描いた達磨像や布袋像に触発され、多くの賛を書いたという。
2008年には号を授け、黒吞から天谿に改めた。
前に述べたとおり相国寺は、若き日の雪舟が修業時代を過ごした寺である。
奇しくも、七類堂天谿は、日・中 両方の雪舟所縁の寺から、称号と号を授けられたことになる。
鶴亀寿星 森清範賛
2009年の6月には、中国浙江省寧波市にある天一博物館から招聘状が届き、個展を開催した。
浙江省や寧波市ほか、雪舟が水墨画を学び、七類堂天谿に「天童第一座」の称号を与えた天童寺が後援に立った。
それを受けて日本側も七類堂天谿が住まいする尾道市が後援。
有馬賴底相国寺承天閣美術館館長が日本側の会長を務める日中臨黄友好協会も名を連ねた。
天一閣は、中国最古の書庫としても知られる由緒ある博物館であり、日本人作家の個展開催は初めてのことだという。
水墨画の故郷でもある中国の人々から、驚きと称賛の声が・・・
このように中国で絶賛された七類堂天谿は、相国寺承天閣美術館で、国内最初の個展を開催。
椿の繪 鵬雲斎玄室賛
ここに500年の時を超えた深い縁を感じずにはいられない。
雪舟が海を渡ったのは48歳の時。七類堂天谿も同じ年に海を渡って個展を開催した。
果たして、七類堂天谿は水墨画の巨匠・雪舟を超えることができるのか…。
有馬賴底相国寺承天閣美術館館長に直接お目にかかったことがあるが、なかなかユーモアのあるかたで、お話もうまく、人を惹きつける。
スピーチの際には、ジョークを取り入れながら、会場の人々を爆笑の渦に巻き込んでいた。
また、大変腰の低い方で、筆者のような者にも丁寧にお辞儀をされていたことが印象的である。
その有馬館長が、高く賞賛を惜しまない七類堂天谿。
その経歴は、一風変わっている。
サルバドール・ダリを始めとする、シュールレアリスムの研究から東洋画の道へと転向したという。
画からぐい飲みのような陶芸作品まで、レパートリー豊富な作品群は、若い息吹さえ感じる。
世界三大美術館の一つ、スペイン国立プラド美術館に永久収蔵されていることからも世界の人々からの評価が伺える。
「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」展は、今年の1月まで開かれていたばかり。
«着衣のマハ»と«裸のマハ»は大変有名。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-01-27
さまざまな文化の融合をベースとして、伝統に新風を吹き込む「天開図画」には、老若男女を問わずとりこになってしまうに違いない。
ある時は、伝統古来の筆さばき。ある時は、まるでアニメのよう。
図録には、そんな七類堂天谿の魅力が満載だ。
拈華地蔵 池坊専永賛
有馬館長と七類堂天谿の夢のようなコラボレーション。
このミラクルワールドに浸ってみるのも意義あることだ。
瓢箪喜楽 尾道市蔵
展覧会名:
「七類堂天谿展」 -奕々たるその神彩-
会期:
平成24年4月7日(土)~平成24年6月17日(日)
※好評につき、会期延長。
開館時間:
午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入館料:
一般 800円
65歳以上・大学生 600円
中高生 300円
小学生 200円
制作風景
主催:相国寺承天閣美術館
読売新聞社
後援:中国太白山天童禅寺
寧波市天一閣博物館
尾道市
尾道市教育委員会
日中臨黄友好交流協会
大阪芸術大学
中外日報社
尾道エフエム放送
協力:読売テレビ
翠雪堂
会場:相国寺承天閣美術館
〒602-0898 京都市上京区今出川通烏丸東入
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