日中国交正常化40周年 特別展「中国 王朝の至宝」 [美術館 ARTNEWS アートニューズ]
日中国交正常化40周年
特別展「中国 王朝の至宝」
阿育王塔[一級文物] 北宋時代・大中祥符4年(1011) 江蘇省・南京市博物館蔵
中国に誕生した歴代王朝の都ないし中心地域に焦点を当て、それぞれの地域の特色ある文物を対比しながら展示し、多元的でダイナミックに展開してきた中国文化の核心に迫る展覧会が、神戸市立博物館で開催中である。
13億以上の人口を持ち、世界で4番目に広い国土を持つ中国。
日本からヨーロッパへ飛行機で行く時、約12時間の飛行時間のうち、ヨーロッパ内の飛行時間を多く見積もって最大4時間としても、残りの8時間はロシアと中国の上空を飛ぶことになる。
また、日本-北京を約2時間のフライトとして、北京から空港がある西の端といわれるウルムチまで飛行時間は、約4時間半。
いかに広大な国土を持つ国かは、以上のような飛行時間からわかっていただけるであろう。
現在も50種を越える民族の集合体として、中国は6千年ともいわれる歴史を現代につなげている。
中国人に日本人である筆者が中国語を教えたと言ったら、誰もが冗談だと思うであろう。
実際、ウルムチでは、普通語(北京語)を話せなくとも生活に困らない。また、話せない人も多いのである。
また、目の色は紺碧で、どちらかというと彫りの深い西洋人にしか見えない人達も多い。
しかし、彼らの国籍は、中国。
黄河や長江といった大河の恵みのもとで高度な文明を発展させてきた中国では、他国にはない独自の文化や思想が発達して来た。
この展覧会では、国宝級の「一級文物」約60%というスケールで貴重な文物168件を展示している。
展示のしかたとしてユニークなのは北方と南方の文化の違いを比較展示していること。
それぞれの国の文化の特徴がよくわかり、画期的な切り口の展覧会だ。
お見逃しなく。
☆構成
第1章 王朝の曙 「蜀」(しょく)と「夏・殷」(か・いん)
紀元前2000年頃、黄河中流域の中原に夏や殷といった初期王朝が誕生し、細緻で強靭な青銅器や玉器を作り、漢字の元となる文字をはじめて用いるなど、中国文化の礎となった。
同じ頃、長江上流域の蜀では、黄河流域と別の文化が形成された。
肥沃な土地で人の姿をした神や各種の動物を崇め、金を多用した古代蜀の文化を対比している。
金製仮面[一級文物] 殷~西周時代・前12~前10 世紀 四川省・成都金沙遺址博物館蔵
第2章 群雄の輝き 「楚」(そ)と「斉・魯」(せい・ろ)
殷の後をうけた周の威光が薄れると、春秋戦国時代に移る。
黄河下流域では、周の流れをくむ斉や魯が栄え、諸子百家といわれる様々な思想・文化が花開く。
一方、長江中流域では、黄河流域とは風俗言語を異にした楚が隆盛を誇った。
土着的信仰を色濃く残し、古来の神話体系を護持する南方の雄・楚と、中原の斉・魯の文化を比較。
羽人[一級文物] 戦国時代・前4世紀 湖北省・荊州博物館蔵
犠尊[一級文物] 戦国時代・前4~前3世紀 山東省・斉国故城遺址博物館蔵
第3章 初めての統一王朝 「秦」(しん)と「漢」(かん)
紀元前221年、中国史上初の統一王朝・秦が出現。
秦は国ごとに異なった文字や諸制度を統一、中央集権国家を実現。
短命に終わった秦の次に中国全土を治めた漢は、秦の体制を継承しながら国家体制を整備し、統一王朝の永続的な運営基盤を築くとともに、広大な領域を支配。
絶大な権力を背景とした秦の破格の文物と、前後400年程にわたって全土を安定的に統治した漢の様式美が結実した文物を比較。
跪射俑[一級文物] 秦時代・前3世紀 陝西省・秦始皇帝陵博物院蔵
第4章 南北の拮抗 「北朝」と「南朝」
漢王朝が滅亡すると、魏・呉・蜀の三国鼎立(ていりつ)、晋による一時的統一の後、華北と華南に王朝が対峙する南北朝時代に。
華北では、北方民族の王朝により仏教文化が隆盛し、外来と中原の文化が融合した清新な文化が勃興。
一方、華南では漢族の王朝が文化の爛熟期を迎える。
北朝の大同(山西省大同市)、南朝の建康(江蘇省南京市)という中心地域から発見された文物に焦点を当て、南北を対比して展示。
第5章 世界帝国の出現 「唐」―長安と洛陽―
南北朝の対立を終息させた隋(ずい)の後を受け、中国全土を平定した唐には、近隣諸国はもとより、遠く地中海沿岸地域からも入貢(にゅうこう)が相継ぎ、諸外国との交易も活発に。
都・長安には、常時1万人もの外国人が暮らし、国際色に富んだ文化が開花した。
副都・洛陽でも諸々の芸術活動や仏教や道教の造像も隆盛をきわめた。
この時代の息吹を象徴する長安と洛陽という二つの都の文物を取り上げ、唐文化の特質と中国史上における意義を探る。
金剛神坐像[一級文物] 唐時代・8世紀 西安碑林博物館蔵
第6章 近世の胎動 「遼」(りょう)と「宋」(そう)
唐が滅びた後、五代十国という小国が興亡した乱世になるが、それを収めたのが宋王朝。
同じころ中国北部で契丹(きったん)族が遼王朝をうち建て、南の宋を圧迫するようになった。
遼は漢文化や仏教文化の影響を強く受けながら、そこに北方民族の要素を溶け合わせ、奔放で独特な文化を生み出す。
一方、宋では、書画や陶磁器に代表される深い精神性を備えた境地を切り開き、中国文化の頂点を現出する。
近世の胎動期ともいえるこの時代の南北の文物を対比し、中国文化の多様性と奥深さを比較。
金製龍 北宋時代・11~12 世紀 浙江省博物館蔵
会 場
神戸市立博物館
会 期
2013年(平成25年)2月2日(土)~ 4月7日(日) 56日間
※開館時間:
9時30分から17時30分まで
(入館は17時まで)
土/日曜日は19時まで開館
(入館は18時30分まで)
※休館日:
月曜日
観覧料金
一般1500円(1300円)、高校・大学生1100円(900円)、小・中学生600円(450円)
*( )内は20名以上の団体料金
*65歳以上で「神戸市すこやかカード(老人福祉手帳)」持参の方は当日一般料金が半額。
*障がい者とその介護者一名は無料。
入館の際に障がい者手帳などをご提示のこと。
*神戸市および隣接6市1町、淡路3市、鳴門市、徳島市の小中学生は、
「のびのびパスポート」の提示により無料。
主 催
神戸市立博物館、中国文物交流中心、NHK神戸放送局、NHKプラネット近畿、毎日新聞社、神戸新聞社、朝日新聞社
後 援
外務省、中国国家文物局、中国大使館
協 賛
信越化学工業、大日本印刷、三井住友海上、関西外国語大学、関西外国語大学孔子学院
協 力
全日本空輸、東京中国文化センター、サンテレビジョン
監 修
東京国立博物館
この展覧会は、政府による美術品補償制度適用。
お問い合わせ
03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会ホームページ
☆読者プレゼント
5組10名様にご招待券 プレゼント
あて先 : loewy@jg8.so-net.ne.jp に
件名:展覧会名と会場名
本文:ご住所、お名前
をお書きの上どしどしご応募下さい。
発送をもって当選と代えさせていただきます。
※画像の無断転載禁止
巡回予定
名古屋市博物館 2013年4月24日(水)~6月23日(日)
九州国立博物館 2013年7月9日(火)~9月16日(月・祝)
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